働き方改革を前に、中小企業が悲鳴をあげている

帝国データバンクが2020年1月に発表した「働き方改革に対する企業の意識調査(2019年12月)」では、働き方改革に取り組んでいる企業の割合は60.4%となった。2018年8月に実施した同調査と比較すると、22.9ポイントの大幅増。企業の取り組みは着実に進んでいると言えるだろう。


規模別にみると、2019 年4 月に施行された働き方改革関連法において、先駆けて制度の対象となった大企業では75.7%と高水準となった。一方、2020年4月より同法の一部の適用が始まる中小企業では56.7%。全体こそ下回っているものの、半数以上の企業が働き方改革に取り組んでいると回答している。こちらも前回調査から23.2ポイント増加しており、規模を問わず働き方改革に取り組む企業は増加している結果となった。


しかし、調査内で寄せられた「企業の声」をみると、表れた数字とはかけ離れた意見が並んでいる。特に「人材採用がスムーズにいかない時に、働き方改革で休日の増加や勤務時間の減少によって相反する状況が続き、結果として前向きな社員こそやりにくく負担がかかっている」(肥料・飼料卸売、兵庫県)という声や、「人手不足の中で働き方改革を進めようにも中小企業にとっては難しい」(印刷、東京都)といった意見が多くみられた。さらに興味深いことに、こうした意見をあげている企業は働き方改革に「取り組んでいる」と回答している。総じて、取り組んではいるものの多くの課題に直面している企業が多い。


 このような声が多くみられる原因として、働き方改革を法律によって進めていることが最大の理由だろう。「個々の企業が自身の規模や業態に合わせて取り組めばよい。中小企業にとっては人件費・事務コストの増加にしかならない」(ソフト受託開発、兵庫県)のような、現在の働き方改革の進め方が中小企業の実態になかなか合っていないという声も多い。


政府も、企業の支援を目的として様々な支援を行っている。例えば、厚生労働省は「働き方改革推進支援センター」を設置しており、他の複数の機関も同様の取り組みをしている。生産性の向上をはじめとした働き方改革への取り組みが必須であることは確かではあるが、現状は中小企業側と大きな温度差があることを忘れてはならない。中小企業に同法が一部適用される2020年4月は、もうすぐそこである。

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