円安に対する企業の意識調査

円安をデメリットと認識する企業が半数に迫る
~ 円安進行が人件費抑制につながる可能性も ~

はじめに

円相場は2014年12月に終値で1ドル=120円を突破。同年夏まで100円台前半で推移していた相場は短期間で急激に円安が進行した。2015年に入ってもドル円相場の変動幅は大きく推移している。短期間での想定を上回る為替レートの変動は、海外との直接取引がある企業にとどまらず、間接的に輸入製品、原材料・資源を利用している企業にも大きな影響を与える可能性がある。 
そこで、帝国データバンクは、円安に対する企業の意識について調査を実施した。なお、本調査は、TDB景気動向調査2014年12月調査とともに行っている。

※調査期間は2014年12月15日~2015年1月5日、調査対象は全国2万3,324社で、有効回答数は1万583社(回答率45.4%)

調査結果(要旨)

  1. 円安の業績への影響について、46.2%の企業が「デメリットの方が大きい」と回答
  2. 業界別で、「デメリットの方が大きい」と回答した企業は、内需型企業が多い『小売』が62.2%と最も高く、『農・林・水産』(57.4%)が続いた。さらに細かくみると、海外工場での製造品や原材料などの輸入ウエイトが高い業種で80%以上となった
  3. 業界別で、「メリットの方が大きい」と回答した企業は、『製造』が11.7%と最も高く、『サービス』(6.7%)、『運輸・倉庫』(6.6%)と続いた。さらに細かくみると、輸出関連企業のほか、外国人観光客の受け入れが増加している旅館・ホテル業などの構成比が高かった
  4. 地域別で、「デメリットの方が大きい」と回答した企業は、『北海道』が52.1%と最も高く、10地域のなかで唯一、半数を超えた
  5. 最近の円安に対する対策について、「特に何もしていない」が36.0%(複数回答、以下同)と最も高く、「燃料費等の節約」(26.6%)が続いた。「人件費の抑制」(10.8%)といった回答もあり、円安進行が従業員の人件費抑制につながる可能性も出ている
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