TPPに関する企業の意識調査

企業の64.5%が日本に必要と認識
~ 「農・林・水産」の6割超がマイナスの影響を懸念、プラス影響は「飲食店」がトップ ~

はじめに

2015105日、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定が大筋合意された。高い水準の自由化と高度なルールを、世界のGDPの約4割を占める12カ国が約束したことで、関税等の大幅な削減・撤廃が行われ、域内全域に共通のルールが適用されることとなる。TPP協定は、域内市場の一体化が進展し、ヒト、モノ、資本、情報が活発に行き交うことで、日本経済の活性化につながると期待されている。他方、農産物などにおいては、関税撤廃などによる国内生産者への影響が懸念されているほか、金融や社会保障分野でのルールも課題に挙げられている。

帝国データバンクはTPPに関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2015年12月調査とともに行った。なお、TPPに関する調査は2010年12月調査以来2回目。

  • 調査期間は2015年12月15日~2016年1月5日、調査対象は全国2万3,097社で、有効回答企業数は1万547社(回答率45.7%)

調査結果(要旨)

  1. TPP協定、企業の64.5%が日本にとって「必要」。自社の属する業界では29.7%が「必要」と考えているが、5年前(38.3%)と比べると大幅に減少
  2. 自社への影響は「プラスの影響」(16.3%)が「マイナスの影響」(7.3%)を上回るも、「影響はない」「分からない」がそれぞれ4割近くに達し、自社への影響を必ずしも捉えきれていない現状が浮き彫りに。業種別では、プラス影響は「飲食店」(47.2%)、マイナス影響は「農・林・水産」(65.6%)がトップ
  3. 具体的内容、影響を想定する企業のうちプラス面では「原材料コストの低下」(38.9%)がトップ。以下、「輸出の増加」「売り上げや利益の増加」が続く。マイナス面では「販売価格の低下」(27.9%)がトップ。「新規参入の増加による競争の激化」「売り上げや利益の減少」が続く
  4. TPP協定への対応、企業の81.1%が「検討していない」。業界別にみると、「農・林・水産」では半数超の企業で何らかの対応策を検討
  5. 対応を検討している企業のうち、57.2%の企業が「TPP関連情報の収集」を検討。以下、「売り上げや収益への影響分析」が4割台、「海外販路の開発・拡大の方法」が3割台で続く
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