2018年度の雇用動向に関する企業の意識調査

正社員採用予定の企業、65.9%に上昇
~ リーマン・ショック前の水準を上回る ~

はじめに

人手不足が深刻化するなか、201712月の有効求人倍率は1.59倍と、19741月以来4311カ月ぶりの高水準となった。また、新規学卒者の就職内定率は201712月時点で86.0%(大卒)と7年連続で上昇し、1996年に調査を開始して以来最高となっている。さらに、政府では「働き方改革」を政策の重要な柱とするなか、国会での議論が活発化している。

そこで、帝国データバンクは、2018年度の雇用動向に関する企業の意識について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2018年2月調査とともに行った。

  • 調査期間は2018年2月15日~28日、調査対象は全国2万3,173社、有効回答企業数は1万70社(回答率43.5%)。なお、雇用に関する調査は2005年2月以降、毎年実施し、今回で14回目

調査結果(要旨)

  1. 2018年度に正社員の採用予定があると回答した企業の割合は65.9%と、4年連続で6割を超え、リーマン・ショック前の2008年度(20083月調査)を上回った。特に「大企業」(84.0%)の採用意欲が高く、調査開始以降で最高を更新。「中小企業」(61.3%)の採用予定も2年連続で増加し、11年ぶりに6割を超えた。正社員の採用意欲は上向いており、中小企業にも広がりを見せている
  2. 非正社員の採用予定があると回答した企業の割合は52.4%と3年ぶりに増加、非正社員に対する採用意欲は強まってきた。特に、非正社員が人手不足の状態にある「飲食店」は9割、「娯楽サービス」「飲食料品小売」は8割を超える企業で採用を予定している
  3. 2018年度の正社員比率は企業の20.7%が2017年度より上昇すると見込む。その要因では、「業容拡大への対応」(51.5%)をあげる割合が最も高く、「退職による欠員の補充」「技術承継などを目的とした正社員雇用の増加」が3割台で続く
  4. 従業員の働き方に対する取り組みでは、「長時間労働の是正」が46.3%でトップ。次いで、「賃金の引き上げ」「有給休暇の取得促進」がいずれも4割台で続いた。本調査から、従業員の働き方を変えるための6つのポイントが浮上した(1.心身の健康維持に向けた取り組み、2.仕事と家庭の両立に向けた取り組み、3.多様な人材を生かす取り組み、4.人材育成への取り組み、5.柔軟な働き方を支える環境整備への取り組み、6.公正な賃金制度構築への取り組み)
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