保護貿易に対する企業の意識調査

企業の56.9%が“自由貿易”を支持
~ 保護貿易主義への対応策の実施・検討は進まず ~

はじめに

近年、世界経済の回復を背景に、日本からの輸出は増加傾向で推移しており、経済成長のけん引役となっている。政府は各国・地域との取引拡大に向けて、自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)などの政策を推進している。他方、米中における貿易摩擦の激化など、保護貿易主義の世界的な広がりが懸念される。

そこで、帝国データバンクは、保護貿易に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2018年6月調査とともに行った。

  • 調査期間は2018年6月18日~30日、調査対象は全国2万3,149社で、有効回答企業数は9,694社(回答率41.9%)

調査結果(要旨)

  1. 企業の56.9%が日本全体にとって「自由貿易」が望ましいとする一方、国内産業保護を含む「保護貿易」が望ましいとする企業は9.9%にとどまる。他方、自社の属する業界にとっては「自由貿易」が望ましいが43.0%に低下、「保護貿易」は13.1%に上昇
  2. 保護貿易主義による政策が世界的な広がりをみせた場合、自社の業績に「マイナスの影響」があるは28.7%、「プラスの影響」は2.5%にとどまる。また、「どちらともいえない」は38.5%、「影響はない」は12.7%だった
  3. 現在までに、保護貿易主義の高まりについて対応策を実施している企業は0.5%。「対応を検討中」(4.4%)と合わせても、何らかの対応を実施・検討している企業は4.9%にとどまる
  4. 実施・検討している対応策では、「情報収集・分析の強化」が57.0%でトップ。次いで、「仕入先企業の見直し」(32.0%)、「販売計画の見直し」(28.8%)、「自社の商品やサービスの種類・内容の見直し」(26.9%)、「生産計画の見直し」(20.8%)が続く
  5. 「生産計画の見直し」を行っている企業が主に実施・検討している内容は「国内生産の拡大」が30.6%。「販売計画の見直し」では「国内向け販売の拡大」が46.3%。生産・販売計画の見直しは「国内」の拡大を図る傾向
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