事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2019年)

BCP策定の意向がある企業、半数に届かず
~ 大地震が想定される地域でBCPの策定意向が高い傾向 ~

はじめに

企業は、自然災害や感染症の流行、情報セキュリティ事故などの緊急事態が生じた際に、経営資産への影響を最小限にとどめ、事業の継続や早期復旧が求められている。そのため、さまざまなリスクに対する企業活動への影響を想定し、平常時から対応措置などを準備しておくことが、事業の継続のみならず企業価値の維持・向上の観点からも重要となる。

そこで、帝国データバンクは、事業継続計画(BCP)に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査20195月調査とともに行った。

  • 調査期間は2019520日~31日、調査対象は全国23,169社で、有効回答企業数は9,555社(回答率41.2%)。なお、事業継続計画(BCP)に関する調査は、20166月以降、毎年実施し、今回で4回目

調査結果(要旨)

  1. 事業継続計画(BCP)の策定状況において、「策定している」と回答した企業は、15.0%(前年比0.3ポイント増)にとどまった。また、『策定意向あり』(「策定している」「現在、策定中」「策定を検討している」の合計)でも45.5%と半数に満たず、依然としてBCPの策定が進んでいない実態が浮き彫りとなった
  2. BCPの『策定意向あり』とした企業のうち、事業の継続が困難になると想定しているリスクでは、地震、風水害、噴火などの「自然災害」(72.5%)が最も高く、「設備の故障」(40.9%)、「火災・爆発事故」、「自社業務管理システムの不具合・故障」(いずれも34.5%)が続いた。事業中断リスクに備えて実施・検討していることでは、「従業員の安否確認手段の整備」(72.2%)、「情報システムのバックアップ」(61.5%)、「緊急時の指揮・命令系統の構築」(47.2%)が上位となった
  3. BCP策定の効果について、策定済みの企業では、「従業員のリスクに対する意識が向上した」が59.3%でトップ。以下、「業務の定型化・マニュアル化が進んだ」(35.4%)、「事業の優先順位が明確になった」(32.9%)が続いた
  4. BCPを策定していない理由は、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」(43.9%)が最も高い。次いで、「策定する人材を確保できない」(33.7%)、「書類作りでおわってしまい、実践的に使える計画にすることが難しい」(27.9%)が続いた。また約4社に1社はBCP策定の「必要性を感じない」(24.0%)という結果となった
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