2021年度の賃金動向に関する企業の意識調査

賃金改善を見込む企業は42.0%、7年ぶりの低水準
~ 賃金改善をしない理由、「新型コロナによる自社の業績低迷」が7割 ~

はじめに

2020年は、国内景気を「回復局面」とする企業は3年連続で1ケタ台にとどまり、加えて「悪化局面」は2012年以来8年ぶりに5割超となるなど、より厳しさの増す1年となった(帝国データバンク「2021年の景気見通しに対する企業の意識調査」)。新型コロナウイルスの感染拡大が企業活動に大きく影響を与えているなか、日本経済団体連合会(経団連)は雇用維持と事業継続を最優先にするため一律の賃上げを打ち出さない方針を示すなど、今後の賃金動向が大きく注目されている。

そこで、帝国データバンクは2021年度の賃金動向に関する企業の意識について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2021年1月調査とともに行った。

  • 調査期間は2021年1月18日~31日、調査対象は全国2万3,695社で、有効回答企業数は 1万1,441社(回答率48.3%)。なお、賃金に関する調査は2006年1月以降、毎年1月に実施し、今回で16回目。
  • 賃金改善とは、ベースアップや賞与(一時金)の増加によって賃金が改善(上昇)することで、定期昇給は含まない。

調査結果(要旨)

  1. 2021年度の賃金改善が「ある」と見込む企業は42.0%となり、2014年度見込み(46.4)以来7年ぶりの低水準に落ち込んだ。2020年度見込みと比較しても11.3ポイント減少している。業界別では人手不足が顕著な『建設』の47.8%が最も高い。また、旅行代理店や旅客自動車運送など観光関連業種を含む『運輸・倉庫』(36.7)18.5ポイントの大幅減となった
  2. 賃金改善の具体的内容は、ベースアップが35.9%(前年度比9.3ポイント減)、賞与(一時金)が20.3%(同6.0ポイント減)となり、いずれも前回調査から大きく落ち込んだ
  3. 賃金を改善する理由は「労働力の定着・確保」が78.7%となり、2020年度見込みから減少したものの、人材の定着・確保のために賃上げを実施する傾向は引き続き強い。賃金を改善しない理由では、「新型コロナによる自社の業績低迷」が69.4%となり7割近くにのぼった
  4. 2021年度の総人件費が「増加」する企業は54.2%と、2020年度見込みから14.7ポイントの大幅減となった。業界別では『建設』が唯一6割を超えている。次いで『サービス』が56.0%で続いており、そのなかでも特に「医療・福祉・保健衛生」や「情報サービス」、「メンテナンス・警備・検査」のような人手不足が目立つ業種では総人件費を増加させる傾向が目立つ
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