2021年度の業績見通しに関する企業の意識調査

2021年度の業績、収益の増減予想は拮抗
~ 資金繰りの苦しさは「個人向けサービス業」で鮮明に ~

はじめに

国内景気は、新型コロナウイルスの影響により経済活動が左右される状況が続いている。緊急事態宣言は解除され、ワクチン接種や新しい生活様式に対応した需要創出など徐々に明るい兆しも見え始めているものの、一部地域では「まん延防止等重点措置」が適用されるなど、収束の時期は未だ鮮明には見えていない。一方で、2020年から延期となった東京五輪・パラリンピックの開催や5Gの本格的な普及などによる景気回復が期待されている。

そこで、帝国データバンクは、2021年度の業績見通しに関する企業の意識について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2021年3月調査とともに行った。

  • 調査期間は2021年3月18日~3月31日、調査対象は全国2万3,703社、有効回答企業数は  1万1,261社(回答率47.5%)。なお、業績見通しに関する調査は2009年2月以降、毎年実施し、今回で13回目

調査結果(要旨)

  1. 2021年度の業績見通しを「増収増益」とする企業は、前回調査(2020年3月)の2020年度見通しから13.9ポイント増加し、27.4%だった。一方、「減収減益」を見込む企業は同18.4ポイント減少の26.0%で、2021年度の業績見通しは増減が拮抗する結果となった。業種別でみると、増収増益では自動車・同部品関連の「輸送用機械・器具製造」が40.4%でトップ。減収減益では、2020年度は内食需要が活況だった総合スーパーを含む「各種商品小売」が最も高かった
  2. 2021年度業績見通しの上振れ材料は、新型コロナウイルスに関する「感染症の収束」が45.6%でトップ。次いで、「個人消費の回復」が前回調査より8.1ポイント増加の42.9%となった。以下、「公共事業の増加」「経済政策の拡大」「中国経済の成長」「米国経済の成長」が続いた。一方、下振れ材料においても「感染症の拡大」が54.7%で最も高く、「個人消費の一段の低迷」(35.4%)が続いている
  3. 2021年3月時点の企業の資金繰りについて尋ねたところ、資金繰りが「楽である」と感じている企業の合計は43.2%だった。「どちらでもない」が40.6%、「苦しい」の合計が13.6%となった。新型コロナウイルスに関連する特別融資によって資金調達ができているとの声が多くあがった一方で、小規模企業や特に「旅館・ホテル」「娯楽サービス」「飲食店」といった個人向けサービスの業種では、資金繰りの厳しさが目立っている
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