事業承継に関する企業の意識調査(2021年5月)

3社に2社は事業承継を『経営上の問題』と認識
~ 円滑な事業承継、現代表と後継者の意識共有が最重要 ~

はじめに

新型コロナウイルスの影響拡大により倒産のみならず休廃業の増加も懸念されるなか、その回避策としての事業承継が今まで以上に注目されている。また、政府は若い世代における事業承継の気運醸成や、世代交代にともなう中小企業の成長を促進する施策のほか、税制面の優遇措置や第三者承継の促進など、事業承継への支援体制を強化している。

そこで、帝国データバンクは、事業承継に関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2021年5月調査とともに行った。

  • 調査期間は2021年5月18日~31日、調査対象は全国2万3,724社で、有効回答企業数は1万1,242社(回答率47.4%)。なお、事業承継に関する調査は、2017年10月、2020年8月に続き、今回で3回目

調査結果(要旨)

  1. 事業承継への考え方について、「最優先の経営上の問題と認識している」企業が11.9%となり、「経営上の問題のひとつと認識している」(55.5%)と合わせると67.4%が事業承継を経営上の問題として考えている。「経営上の問題として認識していない」は21.6%、「分からない」は 11.0%だった
  2. 事業承継を『経営上の問題として考えている』割合(「最優先の経営上の問題と認識している」と「経営上の問題のひとつと認識している」の合計)を業界別にみると、『建設』が71.7%で最も高く、次いで、『製造』(70.0%)、『卸売』(68.2%)が続く
  3. 同様に、従業員数別では、「6~20人」(72.9%)と「21~50人」(70.9%)が7割超となった一方で、「1,000人超」(33.6%)は3割台にとどまった
  4. 事業承継を円滑に行うために必要なことは、「現代表(社長)と後継候補者との意識の共有」が43.5%で最高となった(複数回答)。以下、「経営状況・課題を正しく認識」(37.4%)、「早期・計画的な事業承継の準備」(36.2%)、「早めに後継者を決定」(33.9%)、「事業の将来性、魅力の維持」(30.1%)が3割台で続く
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