四国の景況感に水を差す穴吹工務店の破綻

前月の主観客観で、NHK番組(「ウェルかめ」「坂の上の雲」「龍馬伝」)による四国への経済波及効果から景気下支えに期待する「四国」について述べたばかりだが、11月24日の穴吹工務店(香川県高松市)など関連3社の会社更生法の適用申請は、期待される効果に水を差す懸念がある。
負債は1,509億900万円で、全国では2009年で5番目、四国では過去最大規模の大型倒産となる。


2009年11月のTDB景気動向調査では、四国4県の「建設」の景気DIは同3.8ポイント減の24.6となった。それでも全国10地域の「建設」と比べると依然最高水準にある。しかし、これは2009年4~9月累計の四国の公共工事動向の保証取り扱い実績(西日本建設業保証 発表)が、件数が前年同期比29.4%増、請負金額が同17.6%増という、政策による公共工事の前倒し発注による効果に過ぎない。


10月の公共工事は、件数は同8.4%減となり、金額は同4.9%とプラスだが伸び率は鈍化している。穴吹工務店の破綻の悪影響の懸念がでてくることを考慮すると、これまで全国的に高かった四国の建設の景況感にも悪影響を与えそうだ。


2008年8月に、広島のアーバンコーポレイション(負債2,558億3,200万円、広島市中区)が民事再生法の適用を申請した際、中国ブロックの「建設」の景気DIは、破綻前の7月(25.4)から破綻のあった8月(20.8)には大幅に悪化した。翌9月(25.3)には、中小企業庁がアーバンコーポレーションを連鎖倒産防止のための中小企業信用保険法に基づく再生手続開始申立等事業者に指定したこともあり、影響は限定的との見方が増え、破綻前の水準にまで回復している。


2009年度2次補正予算で、信用保証協会の保証枠6兆円、日本政策金融公庫の融資枠4兆円の計10兆円で中小企業の資金繰りのためのメドをつける予定があるが、与党3党で、まだ決着をみるに至っていない。高松市が穴吹工務店の破綻に伴う取引先への特別融資の開始を決定するなどの動きもあるが、債権を持つ取引業者数は2千社を超えており、年末・年度末に向かって下請業者への影響も含め四国の景況感悪化が懸念される。

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