緑の力

2011年06月03日

電力需給が逼迫する夏場に向けて対策が進んでいる。電力10社が原油など燃料価格の上昇を受け、7月の料金を4カ月連続でそろって値上げすると発表するなど、電気代も気になるところだ。企業や家庭では、エアコンの設定温度を上げる、扇風機やLED照明の導入、照明の節約などさまざまな対策が実施されているなか、節電だけでなく、栽培を楽しむことができる「緑のカーテン」も広がりをみせている。


緑のカーテンとは、朝顔、ゴーヤなどツルが伸びる植物を建築物の壁面を覆うように育て、緑化を行うものだ。日よけとしての効果に加え、植物の水分が蒸発する蒸散作用により、日射による熱を吸収するため、自然の力で暑さを和らげることができる。種類などにもよるが、概ね6月頃までに準備すれば真夏には窓を覆うことが見込まれ、今からでも取り組むことができる。さらに、暑さを和らげるだけでなく、ゴーヤなど収穫できる植物であれば、食べることもできて一石二鳥だ。


また、東北地方の仮設住宅に、緑のカーテンを育てる取り組みもある。非営利団体「緑のカーテン応援団」は、3万戸を目標に緑のカーテンの設置を進めている。仮設住宅居住者の居住環境を改善すると同時に植物を育てることで喜びを見いだし、また、共通の話題によりコミュティ内の会話を増やすなど人との繋がりを育むことで、気持ちを前向きにする効果もあるそうだ。緑の力で夏の暑さを和らげ、被災者の癒しとなってほしい。


節電のため、緑のカーテンに加え、うちわやすだれ、打ち水など、エアコンがなかった時代からの電力を使わない涼み方を見直し、昔の人の知恵も活用していきたい。エアコンの設定温度を上げても、暑さをただ我慢するのではなく、数ある節電方法を組み合わせて、楽しみながら電力不足を乗り切りたい。

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