労働政策の指標も新しい視点を導入

7月30日に総務省が発表した6月の完全失業率は、前月比0.2ポイント減の3.9%となり、2008年10月以来、4年8カ月ぶりに3%台に低下した。男女別にみると、男性は同0.1ポイント減の4.1%、女性は同0.4ポイント減の3.5%だった。さらに、男女年齢階級別では、男性は55~64歳を除く年齢階級で、女性は25~34歳、55~64歳を除く年齢階級で低下した。


また、同日、厚生労働省が発表した6月の有効求人倍率は、同0.02ポイント上昇の0.92倍と4カ月連続で改善した。この水準は、2008年6月の0.92倍以来、5年ぶりの高水準である。特に、新規の求人数は前年同月比で3.8%増えており、産業別にみると、宿泊業・飲食サービス業が同13.5%増加した。また、製造業も同0.8%増加しており、なかでも自動車などの輸送用機械器具製造業が同27.0%の大幅増加となった。


従来、労働環境を議論するときには、上記の完全失業率と有効求人倍率に関心が集中していた。しかし、最近は労働政策の議論に「就業率」という言葉が良く出てくるようになった。就業率とは、15歳以上人口に占める就業者の割合である。労働力調査によると、2013年6月の就業率は57.1%で、前年同月比0.3ポイント上昇した。また、15~64歳の生産年齢に限ってみると就業率は71.9%である。これを男女別にみると、男性は同0.5ポイント上昇の81.4%、女性は同1.3ポイント上昇の62.3%であった。


失業とは、仕事を探しており、仕事があればすぐ就けるのに見つからない状態をいうが、こうした人を減らすことが長く政策目標となってきた。毎月の労働力調査で示される完全失業率は、労働市場の現状を表す重要な指標で、これに応じて政策が立案される。しかし、失業率は、就職が難しいために仕事探しを先に延ばそうという人が増えれば、それによっても下がるのである。


実際、最近までの就職氷河期では、何社かの採用試験に失敗すると、就職活動を途中で諦めてしまったり、卒業することを延期したり、あるいは他の学校に進学することを考える若者が多くいた。学生生活から職業生活へ移る時点は労働市場への入り口に立ったところである。労働市場の状況が良くなければ、立ち止まったり、学校へ戻ったり、さらにはどちらにも入れない状態になってしまうこともある。失業者は、労働市場の中で仕事を探し続ける人であるため、失業率では入り口の状態を把握することができないのである。


あるいは、高齢になって引退するかどうか迷っている場合や、出産でいったん会社を辞めたけれどもまた働こうとしている場合なども同じように、労働力と非労働力の間に置かれている状態である。こうした人たちに対して就業への道筋を示し支援することは、これからの社会を考えると重要になってくる。OECD(経済協力開発機構)が公表した「雇用アウトルック2013」によれば、日本の女性の平均就業率は加盟34カ国中24位だった。約6割の女性が第1子出産後に退職するためで、OECDは「人的資源のフル活用が、将来の経済成長を実現する手段」として女性の就業を支援するよう促している。少子高齢化が進むなかで、社会全体としても重要であり、また個人にとっても働くことは社会と自分を結ぶ大きなつながりである。「就業率」を政策目標に置く時代には、個人ベースで非労働力状態まで把握する労働力調査の重要性がより一層増していくのではないだろうか。

このコンテンツの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。