家計の保有金融資産は1,078万円!?

二人以上世帯の平均金融資産保有額は1,078万円。11月4日、日本銀行が事務局を務める金融広報中央委員会は、2016年の「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯)」を発表した。その内訳は、預貯金55.3%、生命・損害保険19.6%、有価証券16.1%、個人年金保険5.7%、その他3.3%となっている。また、単身世帯でも平均金融資産保有額は822万円という結果だ。


さらに、家計が保有する金融資産残高は1,752兆円となっている(日本銀行「資金循環勘定」2016年3月末)。


「家計はこれほど金融資産を保有しているのか!」や「ならば、もっと消費が活発になっても良いのではないか!」、あるいは「自分はそんなに多くの金融資産を持っていない」などと感じられるのではないだろうか。


当然、このからくりは平均値だからである。前述の二人以上世帯の調査では、約7割の世帯が平均値よりも保有額は少なかった。また、「金融資産を保有していない」世帯も30.9%にのぼる(単身世帯では48.1%)。


そこで、「平均的な日本の家計」が保有している金融資産額を捉えるために中央値をみると、様相が大きく異なってくる。二人以上世帯の金融資産保有額の中央値は、400万円である(単身世帯では20万円)。中央値をみることで世帯全体の実感にかなり近くなったのではないだろうか。


ちなみに中央値とは、調査対象世帯を保有額の少ない順(あるいは多い順)に並べたとき、中位(真ん中)に位置する世帯の金融資産保有額のことである。


家計の所得や貧困に関する調査においては、米国では中央値が最も重要な統計数値として扱われる。しかし、日本では、多くの統計調査において中央値が注目されることはほとんどない。家計が置かれている状況はさまざまであり、企業がマーケティング活動を実施するとき、平均値だけをみて販売ターゲットなどを決めると適切な対策とはなり得ない可能性がある。これは政府による政策も同様である。中央値はもっと注目されるべき統計数字であろう。

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