スポーツの振興とくじ

サッカー・FIFAワールドカップ ロシア大会の開幕まで3カ月を切った。3月の欧州遠征も終わり、「日本代表選手23人は誰になるのか」、「日本代表は1次リーグを突破できるのか」などの期待と不安が入り混じる。その一方で、ワールドカップの開催が近づくと関心が高まるのが、勝敗や優勝国の予想である。ファン同士で予想を言い合ったり、評論家などの意見を聞いたりするのは、楽しいひと時だ。世界の主要ブックメーカーもオッズを更新しており、これからますます盛り上がりがみられるだろう。


この勝敗予想だが、前回のブラジル大会では「スポーツくじ」として日本でも販売された(決勝トーナメントが対象。ロシア大会の販売は未定)。totoといえば、耳にしたことがある方も多いだろう。予想不要のBIGと合わせ、主にJリーグを対象としたこのスポーツくじは今年で早18年目を迎える。2016年度の売上金額は約1,118億円というから、一般企業なら大企業の規模だ。


2016年度は、Jリーグ休止期間に海外主要リーグやワールドカップ予選なども含めて年間での販売が可能となったほか、金融機関などとの提携による購入の手軽さで、全体の7割強を占める「インターネット販売」が好調をけん引(出典:独立行政法人日本スポーツ振興センター発表資料)。宝くじ(2016年度は8,452億円)とはまだまだ差があるものの、売上金額は4年連続で1,000億円を突破しており、10年前(2007年度:約637億円)と比べれば、toto、BIGの裾野は確実に広がっているといえる。


ところで、スポーツくじの収益金は、4分の3がスポーツ振興を目的とする事業資金として助成される。地域スポーツ施設の整備や団体活動の支援、将来を担う若年層の育成・支援まで使途は多様で、2017年10月現在で約2万4,083件、約1,435億円の助成が行われた(2017年度は配分額を合算)。欧州や南米では、スポーツくじは長い歴史と伝統があり、試合結果を予想する「知的ゲーム」の要素だけでなく、「夢を買うことで小口の寄付を募るもの」として認知されているそうだ。たとえば、平昌五輪・パラリンピックでの日本人選手の活躍は記憶に新しいが、一方では競技活動の継続や普及のための資金・スポンサー確保の難しさに関する話も聞かれた。そういうなかで、スポーツくじの購入は、これまでの売上金額と助成金額を考えると、サッカーだけでなく、今後、東京五輪以降の国内スポーツの振興の一助になるかもしれない。


とはいったものの、サッカー好きの私がtoto、BIGを買ったことは一度もない。これまで商店街の抽選会から懸賞まで、くじというくじで良い思いをしたことがまったくないのだ。当たる気がしない...。だが、そんな私でも、最近の日本人スポーツ選手の活躍ぶりやスポーツくじの成り立ちをみると、スポーツくじを一度購入してみるのもありかなと思った次第である。ちなみに、1口100円から購入可能な「mini toto」(指定5試合のホームチームの試合結果を予想)は、2016年度に22万7,807口の当選が出た。これは当たるか?(購入は、くれぐれもほどほどに)。

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