11月11日に示された中国消費の凄まじさ

11月11日は何の日か。
菓子メーカーの江崎グリコは「ポッキー&プリッツの日」として定め、日本記念日協会より認定を受けている。11月11日は、その他にも「めんの日」「立ち飲みの日」「チンアナゴの日」などを含む46の記念日が、日本記念日協会によって認定されている。ちなみに記念日の認定数が多い日付ランキングで11月11日は2位となっており、1位は10月10日で「トマトの日」「てんとう虫の日」など50件もの記念日が認定を受けている。


一方、中国で11月11日といえば、「独身の日」。シングルを意味する「1」が並ぶことから、独身者が「自分へのご褒美」として買い物をする日であったという。そこに目を付けたインターネット通販大手のアリババ集団が、2009年から同日にセールを開始し、今年で10回目。その間に他のネット通販業者も追随し、今では国民的イベントに成長した。日本企業は、中国市場での知名度を高め自社の商品を普及させる好機と捉え、割引品を投入するなど需要の取り込みに力を注ぐ。


アリババ集団の2018年11月11日の取扱高は、スタートからわずか2分ほどで100億元(約1,600億円)を突破し、同日の取扱高は2,135億元(約3兆5,000億円)と過去最高を更新した。中国のインターネット通販大手であるJDドットコムも、同日の取扱高が1,598億元(約2兆6,200億円)となったほか、東南アジア各国へ関連セールが波及しており、「独身の日」商戦は拡大の一途をたどっている。


「独身の日」のセールで消費の力強さを示した中国であるが、米国との貿易摩擦などを受けて設備投資を見送る動きが一部でみられるなど、景気の減速が懸念される。中国から米国へ貨物を運ぶコンテナ船の輸送量が2018年10月単月で過去最多を更新したが、これは米へ輸出する際にかかる関税の一部が現行の10%から25%へ引き上げられることを見据えた、米企業の駆け込み需要による好況と推察される。なお、12月1日に開催された米中首脳会談で関税の引き上げを90日間猶予することが決まったものの、先行きは不透明だ。


来年の「独身の日」にさらなる過去最高を更新するほどの勢いを持続できるのか。2019年以降の消費も含めた中国経済の行方が注目される。

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