スーパー・メガリージョン構想への期待

今後の日本では、国際的な大規模イベントとして2020年の東京五輪や2025年の大阪・関西万博などが控えている。景気後退の兆しと言われるなかであっても日本経済にとっては引き続き明るい話題も多いのではと思っている。


一方で企業からは、2025年の大阪・関西万博の開催後の景気に対して不安視する声[1]などが挙がっており、2つの大規模な国際イベントの後、日本を元気にする出来事には何があるのかと少し調べてみた。


まず、万博の翌年2026年にアジア版五輪ともいわれるアジア競技大会が愛知県で開催(日本では32年ぶり3回目の開催)されることが決定している。東京五輪ほどではないにしろ景気の拡張に期待できそうだ。しかし、一番大きな出来事は、2027年のリニア中央新幹線(品川駅~名古屋駅間)開業ではないだろうか。その後の大阪までの開業が日本経済の大きな起爆剤となろう。


リニア中央新幹線とは、新幹線史上で世界最速となる500km/hで東京・大阪間を運転する鉄道である。超電導磁気浮上方式で走行し、所要時間は以下のとおり想定されている。

  • 品川駅~名古屋駅間:最速40分
  • 品川駅~大阪間:最速67分
  • 品川駅~神奈川県駅(仮称):10分程度
  • 品川駅~山梨県駅(仮称):25分程度
  • 品川駅~長野県駅(仮称) :45分程度
  • 品川駅~岐阜県駅(仮称):60分程度

実現すれば、3大都市圏が人口約6,500万人を擁する1つの巨大な都市圏となり、4つの主要国際空港と2つの国際コンテナ戦略港湾を共有した、世界を先導するスーパー・メガリージョン[2]の形成が期待されている。その経済規模は、欧州先進国1カ国分に相当し、その域内を1時間圏内で移動できることは、凄まじい経済効果を与えるだろう。


ビジネスであれば、Face to Faceコミュニケーションによる新たな価値創造の拡大や3大都市圏のそれぞれがもつ強みの融合とさらなる各都市の発展が加速する見込みだ。


ライフスタイルであれば、これまで単身赴任などにより家族が異なる地域で暮すようなケースであっても、家族が一緒に暮らすという選択肢が増えたり、地方と都会で親世代・子世代が離れて暮らすケースであっても移動時間的には近居な関係を築いたりと、新たな社会構造が生まれる可能性もある。


また、地方の活性化にも大きな期待が持てそうだ。例えば、山梨県駅から品川駅まで25分程度で移動可能となり、これは現在の大宮駅から東京駅までの新幹線での所要時間と同程度である。大宮地区は業務核都市[3]として駅前の開発はもちろんのこと、行政機能や文化機能、居住機能などを集積してきた。山梨県駅付近でも同様なことが起きる可能性がまったくないとはいえない。もしかすると、自然の豊かな山梨県に居住し都心部へ通勤するライフスタイルが流行るかもしれない。


リニア中央新幹線の開通は、我々の働き方や暮らし方を制約する要因であった「時間」と「場所」からの解放につながると言われている。この劇的な変化は仕事や余暇に多様な選択肢をもたらし経済活動に大きな刺激を与えるだろう。2025年以降も悲観することなく日本経済の発展に期待したい。



[1] 帝国データバンク「大阪万博に関する企業の意識調査」(2019年1月発表)
[2] 第二次国土形成計画(全国計画)(2015年8月14日閣議決定)
[3] 東京圏への一極集中を是正するため、東京都区部以外の地域で業務機能を柱とする諸機能を分担する都心周辺の核都市

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