働く親世代にとって企業主導型保育事業は希望となるか

厚生労働省のとりまとめによると、2018年4月1日時点の待機児童数は全国で19,895人となり、10年ぶりに2万人を下回る結果となった。2013年度から始まった待機児童解消加速化プランなどによる保育の受け皿拡大が奏功していると言えよう。


しかしながら、保育所などの空きの多くは、年度替わりでの卒園者や上の年齢のクラスへの代替わりによって生じている。育児休業明け時に年度途中からの保育所などの利用を始めることは非常に難しく、4月以降待機児童は増加する構造である。なお、同年10月1日の待機児童数は約47,000人となり、4月時点と比較すると倍以上となっている。


生産年齢人口の減少や共働き世帯の増加などもあり、企業における女性の存在感が高まっている。一方で、女性が労働に参画するうえで、子育て支援をはじめとする多くの課題がいまだ解決されていないことも実情である。帝国データバンクの調査[1]でも、女性の活躍をより一層促進するためには、待機児童や保育士不足の解消などの「保育サービス」の充実が上位となっており、子育て支援における課題解決が女性の活躍のカギとみている。


また、2016年度より創設された企業主導型保育事業[2]であるが、2019年3月31日現在、助成の決定は3,817施設、定員86,354人分である。認可外ではあるものの、こちらも待機児童の受け皿となっている。


企業などが企業主導型の保育所を設置するメリットとして、「女性の活躍促進」「人材採用や確保に有利」「地域貢献」「企業イメージの向上」などがあげられる。特に、従業員枠の確保や柔軟な保育サービスの提供ができるため、女性をはじめとする親世代の従業員にとって働きやすい環境となる。


ただ、良いことばかりではない。利用者からすれば、地域の認可保育園などと異なり行事などが少ない点や朝の混雑時に職場やその近くまで子どもを一緒に連れて行かなければならない点などデメリットも存在する。他方、助成金を受けた約4割の施設で利用割合が定員の50%未満となっており、「助成の効果が表れていない」といった指摘などが挙げられている。そのため、2019年度の申請分から内閣府は助成先選定の審査を厳しくする予定だ。


地域の保育園は、本当に入園することが難しい。特に、0歳児・1歳児・2歳児クラスは狭き門である。私の子どもも希望する保育園に入れず、入園先に四苦八苦したことも記憶に新しい。良い面、悪い面あるが、働く親世代にとってこうした取り組みが進展、さらに発展してほしいと願う。




[1] 帝国データバンク「女性登用に対する企業の意識調査(2019年)」2019年8月15日
[2] 事業主拠出金を財源として、従業員の多様な働き方に応じた保育を提供する企業などを支援するとともに、待機児童対策に貢献することを目的として、2016年度に創設。

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