改正された信用補完制度は事業承継を推進できるか

8月7日に経済産業省にて中小企業政策審議会第13回金融ワーキンググループ[1]が開催された。このワーキンググループでは2015年から現在まで、中小企業の信用補完制度に関する議論がなされている。同制度は中小企業の信用を信用保証協会が補完し、その資金繰りを円滑化することを目的にしている。今回のワーキンググループでは、2018年4月に改正された信用補完制度の現状や今後の取り組みが主な議題であった。


信用補完制度の今後の取り組みの一つとして、事業承継時の経営者保証の解除が挙げられていた。2018年4月の改正により、信用保証付き融資は事業承継時の経営者保証の二重徴求を基本的に行わない運用となった。しかしながら、経営者保証が事業承継のネックとなっている現状は変わっていない。ワーキンググループで説明があった中小企業基盤整備機構の資料によると、後継者未定の中小企業127万社のうち「後継者候補はいるが、承継を拒否」の割合が22.7%で、そのうち59.8%が経営者保証を理由に承継を拒否している。このような背景もあり6月21日に閣議決定された「未来投資戦略2019[2]」では、事業承継時に後継者の経営者保証を一定の要件のもと不要とする信用保証メニューを創設し、保証料負担を最大ゼロまで軽減する政策を推進するとしている。


事業承継時にネックとなっている経営者保証ではあるが、今後これを非徴求とするためには、信用保証協会や金融機関が中小企業の経営状況を「見える化」するスキームづくりが一層求められるようになるのではないかと感じる。また「見える化」と同時に中小企業の経営改善を支援することも重要である。ワーキンググループでは、地方信用協会での個別の取り組みについても報告がなされており、中小企業への経営改善セミナーを開催している信用保証協会もあった。今後もこうした取り組みが活発になることで、より事業承継が進むことが望まれる。


一方で後継者そのものが未定の企業も依然多い。中小企業の後継者探し、育成をどのように支援していくかも今後課題となると考えられる。帝国データバンクが2019年1月に発表した「全国『休廃業・解散』動向調査(2018年)」によると、2018年の「休廃業・解散件数」は「建設業」が7,280件で最多となり、全体の件数のおよそ3分の1を占めている。業種細分類別の「休廃業・解散率」では、上位20業種中10業種が「小売業」となっている。信用保証協会、金融機関ともに休廃業の多い業種に寄り添った支援も必要になってくるだろう。



[1] https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/kihonmondai/index.html
[2] https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/ap2019.pdf

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