低迷し続ける世界経済成長-日本企業の課題

10月15日発表の国際通貨基金(IMF)の世界経済見通し(WEO)[1]によれば、2019年の世界の経済成長率は3.0%と7月の見通しから0.2ポイント下方修正された。高まる貿易摩擦と地政学的緊張による世界貿易量の減少が主に成長を減速させ、リーマンショックがきっかけとなった世界金融危機以来最低の伸び率となる。世界大国かつ日本の輸出相手国上位2カ国である米国と中国の数字はそれぞれ2.4%、6.1%と前回公表された見通し(それぞれ2.6%、6.2%)から下方修正された一方、日本の成長率は3カ月前の予測から横ばいの0.9%となり、堅調な個人消費と公共投資が海外のマイナス要因を相殺したと記述された。


今後の見通しとして多くの国の景気が回復し、世界の成長率は2020年に3.4%まで加速する一方、日本は0.5%、米国は2.1%、そして中国は5.8%に減速すると見込まれた。日本の数字は2014年以来、中国は1990年以来の低水準となる。IMFは日本の成長の懸念材料として消費税増税の影響のみ述べたが、言うまでもなく世界経済の低迷も重要な不安要素であろう。現に内閣府は10月の月例経済報告[2]で、景気は輸出を中心に弱さが長引いているとし、先行きでは留意すべき材料として貿易戦争問題や中国経済の先行きなど海外経済の動向が挙げられた。


さて、この状況下で影響を受けつつある製造業や輸出に取り組む企業などが検討すべき対策は何だろうか。最近新聞記事などでよく目にする、企業の中国からの生産拠点移転は効果的であろう。移転先としては好立地で成長が著しいASEAN諸国が多いが、それのみならず経済規模や賃金水準、現地の優遇措置、米国の自由貿易協定相手国・一般特恵関税制度対象であるか否かなど、様々な条件をも考慮に入れて選択することが重要だ。


また、世界経済が低迷し全体的に需要が軟調化するなかで、新たな輸出先を開拓するといった対策も考えられる。比較的高い成長率を維持し、好調な需要が続くインドやASEANの一部の国がまさに良い例だ。とりわけインド、ラオスはプラス成長を維持し続け、2024年の成長率はそれぞれ7.3%、6.8%と世界の3.6%から掛け離れて高くなると見込まれている。そういった堅調な経済成長・需要が予測された国々に目を向け、新たな可能性を探ってみても良いかもしれない。




[1] International Monetary Fund(IMF)World Economic Outlook, October 2019
(https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2019/10/01/world-economic-outlook-october-2019)
[2] 内閣府 月例経済報告(令和元年10月)
(https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2019/1018getsurei/main.pdf)

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