オンライン会議開催の可能性

5月30日(土)と31日(日)の両日、日本経済学会に参加してきた。新型コロナウイルスにともなう感染拡大防止に向けた緊急事態宣言は25日に解除されたものの、3月頃までは開催そのものが危ぶまれていた。もともと九州大学が会場となる予定だったため、個人的にちょっとした小旅行となるはずであったが、最終的には初めてのオンライン開催となった。


そのため、新しい知見を得る機会を失わずに済んだだけでなく、このような大規模な大会がビデオ通話アプリで実現できる経験をしたことは、将来における多くの可能性も感じられた。


今回、オンラインでさまざまなセッション・講演に参加して、
 ・論文等の報告者・討論者・講演者の声が聞き取りやすい
 ・スライドが目の前の画面に表示され見やすい
 ・途中でもチャット等を通じてすぐに質問できる
 ・周囲に気兼ねすることなく教室を移動できる
といった参加者として有効だったことのほか、
 ・自宅からすぐに参加できる
ことのメリットは非常に大きなものであった。


一方、デメリットとして、
 ・直接対面での個人的な交流が難しい
 ・非学会員の聴講ができない
ことなどがあり、さまざまなアイデアの交換や共同研究につながるきっかけの場にもなるだけに、何らかの解決策を講じる必要があるかもしれない。もちろん、参加者の管理はセキュリティの観点から重要であるため、その点の工夫も大切になろう。


また今回の学会では、民間企業における経済学や機械学習の活用について、特別セッションとして民間企業から多くの報告者が登壇したことも特徴的だった。生産性をいかに高めるか、という課題に対して、狭義の経済学だけでなく、因果推論や機械学習、最適化、強化学習といった近年著しく発展している分野への理論・実証の両面からの取り組みも盛んに行われており、非常に興味深い内容であった。


ともあれ、こうした新型コロナウイルスによる影響を受ける状況下にありながらも、試行錯誤を重ねて開催にこぎつけてくれた運営や事務局には感謝しかない。

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