新しい生活様式における消費行動の変化を捉える

8月17日、内閣府が発表した2020年4~6月期の実質GDP(国内総生産、1次速報値)成長率は、前期比7.8%減(年率換算27.8%減)となり、リーマン・ショック後の2009年1~3月期(同17.8%減)を上回る戦後最大のマイナス成長を記録した。


新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言などで個人消費(同28.9%減)が大きく落ち込んだことで、実質GDP成長率を4.5ポイント下押ししていた。また、世界的な感染の広がりでヒトやモノの往来が急減し、輸出(同56.0%減)も大幅下落となり、実質GDP成長率を3.1ポイント押し下げた。つまり、戦後最大の悪化となった2020年4~6月期の経済は、消費と輸出の落ち込みが主要因であった。


個人消費は4~6月期の最大の下落要因となっていたが、帝国データバンク「TDB景気動向調査」で算出している個人消費DIをみると、4月に過去最低の水準まで落ち込んだのち、6月以降は低水準ながらも少しずつ上向いてきている。


また8月7日に発表された総務省「家計調査」(二人以上の世帯)によると、6月の実質消費支出は前月比13.0%増となり4カ月ぶりに増加した。前年同月比では1.2%減となったが、4月(11.1%減)や5月(16.2%減)より減少幅が大きく縮小した。緊急事態宣言の解除(5月25日)や特別定額給付金などの効果が押し上げ要因になったと言えよう。


具体的な中身としては、エアコンなど家庭用耐久財や寝具類などを含む「家具・家事用品」が前年同月比27.4%の大幅増だった一方、パック旅行や宿泊料などを含む「教養娯楽」は同21.2%減となっていた。家計支出において明暗が分かれる結果となった。


一方、緊急事態宣言下で大きく変化したのは、家計におけるネットショッピングの拡大であろう。総務省「家計消費状況調査」(二人以上の世帯、8月7日発表)によると、6月のネットショッピングの利用世帯割合は50.8%で、2019年6月(43.4%)より7.4ポイント上昇している。さらに支出額では1万7,252円(前年同月比20.3%増)に急増した。とりわけ、食料や家電、衣類・履物、家具などへの支出が急拡大している。


私自身も、今回の期間中に初めてネットを通してノートパソコンを購入したが、十分に満足できるものであった。新しい生活様式に対応するなかで、新しいニーズも生まれている。今後の景気回復には、企業において消費者の行動変化をいかに捉えるかがカギとなろう。

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