「世界こどもの日」に思うこと

今だかつてない年となった2020年も、慌ただしい師走が始まろうとしている。


日本には西暦のほかに、「昭和」や「令和」などの元号や「師走」や「睦月」などの和風月名と、年月を表現する言葉が多数ある。また、日本には「〇〇の日」という記念日もたくさん存在する。「こどもの日」や「勤労感謝の日」などのように法律で国民の祝日として定められている日もあれば、歴史的な由来やゴロを合わせて物事の推奨や普及を目的に作られた日もある。11月22日は「いい夫婦の日」として最近定着しているが、11月23日は「いいふみ(文)の日」、11月26日は「いい風呂の日」など、調べてみると11月は「いい」を付けた記念日がたくさん並んでいた。


世界でも国際デーと呼ばれる記念日が多数ある。国際機関によって定められ、特定の事項に対して特に重点的問題解決を全世界の団体・個人に呼びかけるための日である。なかでも、私は11月20日の「世界こどもの日」に関するニュースに、毎年目が留まる。


「世界こどもの日」は1954年、世界の子どもたちの相互理解と福祉の向上を目的として、国連によって制定された。その後、1989年の11月20日には、すべての子どもの人権を保障する初めての国際条約『子どもの権利条約』が国連総会で採択され、世界中で子どもの保護への取り組みが進むこととなる。


日本ユニセフ協会が発行している「世界子供白書2019年 子どもたちの食と栄養」では、世界の5歳未満児の少なくとも3人に1人に相当する2億人が、栄養不足や過体重であると報告された。また生後6カ月から2歳までの子どものおよそ3人に2人が、この時期の子どもの身体や脳の成長に必要な食べ物を得ることができておらず、脳の発達の遅れ、学習の遅れ、免疫力の低下、感染症の増加などのリスクに晒されている。飢餓などの栄養不足と同時に、「超加工食品」を背景とした肥満などの過体重による病も問題になっているのが現実であった。


帝国データバンクの調査(「SDGs に関する企業の意識調査」)によると、SDGs(持続可能な開発目標)に掲げられている17目標のうち現在力を入れて取り組んでいる項目では、「8.働きがいも経済成長も」が 27.1%で最も高かった一方で、「1.貧困をなくそう」(5.5%)や「2.飢餓をゼロに」(3.1%)など、企業活動との結びつきが難しい項目については低位に留まっている。


世界の先進国では「5G」などの様々な技術が発展を遂げている一方で、干ばつによる飢餓や栄養不足で生命の危険にある子供たちが世界中にいることを、心に留めておきたい。食品ロス削減などは身近にできる大きな一歩ではないだろうか。

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