業務を見つめ直す「断捨離」の必要性

新型コロナウイルスの影響から外出自粛や在宅勤務などで家にいる時間が長くなっている。そのようななか、快適に過ごすため、家の中の片づけをする人たちが増えている。私も御多分に漏れず、最近の週末は家の中を片付けることから始まる。


私を含め、新型コロナ下による「断捨離」が再びブームとなっているようだ。捨てることをためらう人も多く、大手フリマアプリの「メルカリ」では売上高が伸長するなど、新型コロナ下であっても成長市場となっている。


近年、不要なものを片付ける意味として使われる「断捨離」であるが、もともとの意味を調べてみると、ヨガの行法における「断行」「捨行」「離行」の3つの言葉からなる。

「断行」とは、入ってくる不必要な事柄を断つこと、「捨行」は不必要な事柄を捨てること、「離行」は無用な執着から離れることを意味している。

「断って」「捨て」、そして「離れる」、まさに家の片付けにピッタリな考え方と言える。


日々さまざまな業務に追われるビジネスパーソンにとっても、仕事を遂行する上でこの考え方は有効となろう。業務における「断捨離」を私なりに考えてみると、慣例となっている無駄な作業を省く、今まで紙で処理していた仕事をデジタル化に移行する、過去を踏襲することにとらわれないなどである。それらを実際に挑戦してみると、なかなかうまくはいかないものであるが、考え方として非常に重要になってくると思っている。とりわけ現在、在宅勤務の広がりから業務の効率化・省力化が言われ、業務の「断捨離」は必要と言えるのではないだろうか。


もちろん業務の「断捨離」が、業務の効率化・省力化の目的だけにとどまってはいけない。無駄な作業を省き、デジタル化に移行を目指すことがゴールではなく、断捨離を行うことで、思考的な時間を増加させ、新たなビジネスのヒントを見つけることが大切だ。


新型コロナウイルスの影響から在宅勤務など慣れない環境で業務をやり遂げなければならない状況がまだまだ続いていくだろう。時折少し立ち止まって、業務を見つめ直す「断捨離」を行う余裕を持ちたいものである。

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