TDB圏域別景気DI(2021年6月)

5月から7割超の93圏域で景況感が改善
~ 緊急事態宣言が解除された大阪府では、域内の圏域すべてで改善~

TDB景気動向調査(2021年6月)の景気DIは、前月比1.6ポイント増の39.1となり2カ月ぶりに改善した。9都道府県での緊急事態宣言の解除やワクチン接種の普及などで人流が増加傾向で推移するなど、経済活動は徐々に正常化に向け動き出した。輸出の急増とともに製造業の景況感が上向いたほか、人出が徐々に戻りつつあるなかで小売業や個人向けサービス業など個人消費関連の改善も表れた。本レポートでは、全国47都道府県を130の圏域に分割し、圏域別の景気DIや緊急事態宣言が解除された大阪府内の3つの圏域に焦点を当てて動向を捉えた。


  1. 「佐久・上小」で50.0となったほか、3位から10位までがいずれも40台後半となった

  2. TDB景気動向調査(2021年6月)の景気DIは前月比1.6ポイント増の39.1となり、2カ月ぶりに改善となった。圏域別 にみると130圏域のうち7割を超える93圏域(2021年5月は34)が改善、32圏域(同91)で悪化となった。


    また、景気DIを10ポイント区切りでみると、50台以上は2圏域(同1)、40台は51圏域(同32)、30台は74圏域(同89)、20台は3圏域(同8)となった。景気DIが40台以上の圏域が前月より増加し、全体の景況感を押し上げた。


    なかでも、「海外向け部品が好調」(自動車駆動・操縦・制動装置製造、佐久・上小さく・じょうしょう)というように『製造』がけん引する長野県上田市などの「佐久・上小」と和歌山県田辺市などの「和歌山南部」がともに50.0で最も高くなった。以下、長野県飯田市などの「諏訪・上伊那・飯伊すわ・かみいな・はんい」(48.8)、秋田県能代市などの「秋田県北」(48.5)、高知県南国市などの「高知東部」(46.7)など上位10圏域はすべて40台後半で並んだ(表1)。


    【表1 2021年6月の圏域別景気DI(上位10圏域)】
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  3. 緊急事態宣言が解除された大阪府、各圏域で1ポイント以上の改善がみられた
  4. 2021年6月21日より緊急事態宣言からまん延防止等重点措置に移行した「大阪」では、抑制されていた人の流れが戻りつつあるなかで、景気DIは37.7と3カ月ぶりに改善した。圏域別にみると、「大阪市」は37.5(前月36.4、前月比1.1ポイント増)、堺市などの「大阪南部」は38.5(同35.8、同2.7ポイント増)、東大阪市などの「大阪北東部」は37.8(同35.2、同2.6ポイント増)となった。すべての圏域で1ポイント以上改善しており、特に「大阪南部」は3ポイント近く改善がみられた(図1)。


    【図1 2021年6月の大阪府3圏域別の景気DI】
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    「大阪南部」の企業からは、「新型コロナウイルスのワクチン接種が進んできているため、雰囲気が改善されつつあるように感じる」(男子服卸売、大阪南部)や「自転車用チェーンの受注が非常に好調、また産業機械用チェーンの受注も回復している」(動力伝導装置製造、大阪南部)といった声が聞かれた。


    さらに「新型コロナウイルスによる国際物流事情の悪化から材料入手に困難が生じているが、販売は好調。仕事が海外から国内へ回帰していると思われる」(界面活性剤製造、大阪市)や「来季に向けても増産傾向にある」(建設機械・鉱山機械製造、大阪北東部)といった明るい声が、大阪府内の多くの地域からあげられていた。


    緊急事態宣言の解除により厳しいながらも3カ月ぶりに改善した「大阪」、いずれの圏域においても大きな改善がみられている。


  5. まとめ
  6. 本レポートでは、2021年6月のTDB景気動向調査を用いて、全国を130圏域に分割して圏域別の景気DIを算出し、特徴を捉えた。


    2021年6月の圏域別の景気DIは7割を超える圏域で前月より改善となった。「佐久・上小」や「和歌山南部」で50.0となったほか、3位から10位の圏域でも40台後半となり好況な圏域が多くなってきた。


    また、大阪府内の3圏域をみると、すべての圏域で30台後半となり、厳しいながらも前月から大きく回復していた。地域の景況感には濃淡が表れているなか、「大阪」においては各圏域の景況感はばらつきの少ない水準となっている。


    しかし、2021年7月下旬には東京都をはじめとする首都圏や大阪府、沖縄県などで急速に新型コロナウイルスの新規感染者数が増加している。今後各地で先行きに対する警戒感は高まってくると予想される。そのようななかで、都道府県における各圏域の景気の動向を知ることは企業活動を行う上で重要となろう。
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