製造業の景気動向(1)

『製造』の在庫循環は、「意図せざる在庫増」局面に接近
~ 12業種中10業種が悪化、自動車工場の減産や仕入単価の上昇が下押し ~

【要約】

  1. 『製造』の景気DIは2020年5月以降持ち直しの動きが続いていたものの、2021年8月は3カ月ぶりに悪化した(図1)。業種別でも12業種中10業種が悪化した。半導体不足や東南アジア諸国での感染者数増加の影響により自動車の減産がみられるなか、自動車部品などの「輸送用機械・器具製造」が大きく悪化。また、金属・木材・燃料など材料価格の高騰がみられる「鉄鋼・非鉄・鉱業」や「建材・家具、窯業・土石製品製造」なども悪化した。

  2. 『製造』の生産・出荷量DIは全12業種で前月の水準を下回った。『製造』の在庫循環は「在庫積み増し」局面にあるものの、在庫DIの減少幅に比べて生産・出荷量DIの減少幅が大きかったことから、「意図せざる在庫増」局面へと接近した。今後、半導体不足などの要因によって自動車工場の減産の長期化や、海外経済の持ち直しの動きが弱まれば、在庫循環は早期に「意図せざる在庫増」局面、さらには「在庫調整」局面入りすることが懸念される。


『製造』の業種別景気DIの推移(2020年1月から2021年8月)

prdct_2021_08_keiki.png

このコンテンツの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。