大手企業と新興企業から進む業務のデジタル化、新市場開拓なるか

新型コロナウイルスは世界中で大きな混乱をもたらしていますが、日本ではこれまでのピークを記録した2万5,995人(8月20日)から、最新の新規感染者数は204人(11月17日時点)まで急激に減少してきました。なぜこのように減少したのか、多くの専門家の関心を集めているほどです。


とはいえ、この2年余りの間で日本の行政や企業には大きな課題があることもはっきりしました。その代表例が「デジタル化の遅れ」ではないでしょうか。


実際、2021年の日本のデジタル競争力は世界64カ国・地域のうち28位で、2020年より1つ順位を落としてしまいました。東アジアのなかでみても、香港2位、台湾8位、韓国12位、中国15位となっており、デジタルに関して日本の競争力は非常に心許ない状況です。


このようななかで2021年10月に帝国データバンクが企業取引におけるデジタル化についてアンケート調査を行ったところ、企業の25.5%が取引相手から業務のデジタル化の導入を提示されていたことが分かりました。


【取引条件としてデジタル化の導入を提示した/された割合】
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逆に、企業の5.6%は取引の際にデジタル化の導入を条件として「提示したことがある」ことも見えてきました。なかでも飲食店や宿泊業など、キャッシュレス化が進むなかで新型コロナショックの影響を大きく受けたBtoC企業を中心に、デジタル化の導入を求めていることが明らかとなっています。


全体として取引相手にデジタル化を求めるのは、大手同士、大手から中小の取引でデジタル化を進めている一方で、中小同士や中小から大手は比較的少ないことも特徴です。さらに、創業から10年未満の新興企業は取引相手にデジタル化を求める傾向も表れていました。


デジタル庁の発足で行政や企業のデジタル化の促進が期待されています。今後、デジタル分野はさらに広がると考えられ、そこにはさまざまなビジネスチャンスが眠っています。まずは、大手企業や新興企業がデジタル化のけん引役になるとしても、市場の拡大とともに新たな需要を生み出す起爆剤になる可能性があるのではないでしょうか。


【デジタル化イメージ図】
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