GoToトラベル再開に関する企業の動向

GoToトラベル、多くの企業で早期の再開望む
~ 一方で、政策との再開時期のギャップ期間に対し早急の対策が必要 ~

新型コロナウイルスの新規感染者数が減少するなか、2020年12月以来停止しているGoToトラベルなどの検討や自治体独自の需要喚起策などが行われている。帝国データバンクの調査によると、2021年度内にGoToトラベルの再開を望む企業が約6割になるなど、企業の多くで再開に期待している。本レポートでは、調査結果だけでなく、企業からの声などを踏まえ、最新の実態について把握した。


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  1. GoToトラベル、6割超の企業で早期再開を望む
  2. 新型コロナウイルスの新規感染者数が減少するなか、2021年9月末で緊急事態宣言等が解除されたことなどにより人流抑制策が緩和された。そうした状況のなか2021年11月より大規模イベントの1万人制限の緩和や2020年12月以来停止しているGoToトラベルなどの検討も進んでいる。さらに、千葉県の「ディスカバー千葉」の再開をはじめとする自治体独自の需要喚起策などが続々と行われている。


    足元の景況感である、TDB景気動向調査(2021年10月)の景気DIも、前月比1.6ポイント増の41.5となり、2カ月連続で改善がみられているなど、厳しいながらも明るい話題が増えてきた。


    帝国データバンクが実施した「GoToトラベルに関する企業の動向アンケート」によると、自社にとって望ましいGoToトラベルの再開時期は、「2021年度内(2022年3月まで)」とした企業は57.6%と6割近くにのぼった。とりわけ、「2021年中」と回答した企業は32.2%で約3社に1社となった。他方で、企業の12.4%は「再開しない方が良い」と考えており、一部の企業では慎重な姿勢も表れていた(図表1)。

    GoToトラベル関連業種(「飲食店」「旅館・ホテル」「娯楽サービス」の合計)でみると、「すぐにでも(2021年11月)」再開してほしいとする企業は40.0%となり、加えて「再開しない方が良い」とする企業はいなかった。GoToトラベルに関連する企業では早急にGoToトラベルの再開を切望している様子がうかがえた。


    また、「旅館・ホテル」の景況感は、2020年4月にDIが1.5を記録していたものの、GoToトラベルが実施されていた2020年11月には、DIが28.8まで回復し、低水準ながらも上向き傾向がみられていた。このことから、今回の再開に際しても同様な景況感の上昇が期待できよう。


    【図表1 GoToトラベル再開の望ましい時期】
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    【図表2 「旅館・ホテル」の景況感(2018年1月~2021年10月)】
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  3. GoToトラベルの再開、政策と企業の期待感にややギャップあり

  4. 11月25日現在、報道などではGoToトラベルの再開時期は2022年2月頃と言われている。前述の調査結果より3割超の企業で年内の再開を望んでいるなか、政策と企業の期待感にややギャップが生じている。


    企業からは、特に以下の声があがっている。
    • GoToキャンペーンの再開時期について、1月からの再開を期待していた。しかし、2月からの再開となりそうで、1月から2月までの1カ月間は経営が苦しくなるとみている(一般貸切旅客自動車運送、愛知県)
    • 報道などから2月以降という予定であるが、GoToトラベルの再開には期待している。ただ、もう少し早い再開が望ましい。また、前回のGoToでは、1泊2食付きなどの高単価のプランに需要があった(旅館・ホテル、香川県)
    可能な限り早急な再開を期待する声が多く、この再開時期のギャップを解消していく必要がある。他方で、以下の声もある。
    • 一般論になるが、前回のGoToトラベルほどのインパクトはどこのホテルでもないのではないか。行きたいと感じる人はGoToに関わらず利用すると思う(旅館・ホテル、東京都)


    10月以降、人流抑制策の緩和により人出の増加がみられている。いままで抑制されていた外出機会を取り込むことができれば、政策とのギャップが少しは埋まっていくと考えられる。


    関東近郊の例になるが、ホテル内でのリアル謎解きゲームといった体験型のイベント開催や、海外旅行を模した外国の料理フェアの実施といった、新しい体験や発見がある取り組みを行っている。こうした企業の独自な施策などで利用者を取り込むことがギャップを埋めるカギとなりそうだ。


  5. まとめ
  6. 本レポートでは、GoToトラベルに関するアンケート結果と企業からの声を把握し、その実態を捉えた。


    多くの企業で早期のGoToトラベル再開を望む一方で、検討されている政策の実施時期にギャップが生まれている。そのギャップを埋めるため企業は、人々の外出機会が増えているなか商機を逃さぬよう、創意工夫を行いながら需要を掴む必要がある。


    また今後のGoToトラベルの再開に際しては、直接的な影響が見込まれる業種だけでなく、間接的に食料品卸や酒類卸、カトラリー(食卓用のナイフ、フォーク、スプーンなど)などの食器製造、寝具をはじめとするリネンサプライ(シーツや枕カバー、タオル、テーブルクロスなど)など幅広い業界、業種に好影響が波及していくと予想され、GoToトラベルの再開は過去の景気の動向からも一定の効果は期待できよう。


    ただし、全てが良くなるわけではなく、感染状況によって左右されるほか、自主的に感染対策を行うため稼働率を抑える企業なども出てきている。観光業界にとって厳しい状況ながらも明るい話題も多くなると予想されるが、引き続き注視していく必要はあろう。

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