2次取引を含むロシア取引企業の8割超で仕入単価が上昇、価格転嫁が急務


ロシアによるウクライナ侵攻を受け、日本は工作機械など大量破壊兵器開発に用いられる恐れのある品目や、半導体などといった軍事能力等の強化に資すると考えられる汎用品のロシアおよびベラルーシへの輸出を3月18日より禁止しました。加えて、産業基盤強化に資する物品である貨物自動車やダンプカーなどのロシアへの禁輸措置を6月17日より施行しました。


一方、ロシアからの輸入に関して、ロシア政府は日本を含め、非友好国への木材などの輸出を禁止する措置を発動しました。また、日本側でもロシア産の木材など38品目を4月19日から輸入禁止にしています。


このようななか、ロシアと直接的な取引を行う企業は無論、こうした企業から原材料や製商品の仕入れを行っている2次取引先においても品不足や価格の一段の高騰などによる収益力悪化への大きな影響が懸念されます。


帝国データバンクが発表した「日本企業の『ロシア貿易』状況調査」[1]によると、ロシアと1次・2次取引している企業は約1.5万社となっています。そのうち683社の2022年5月における仕入単価・販売単価に関する調査[2]の結果をみると、仕入単価が前年同月と比べて上昇した企業[3]は81.0%でした。


一方で、ロシアと取引していない企業約1万社のうち、仕入単価が上昇した企業は74.8%となりました。つまり、ロシアと直接的・間接的に取引している企業の方が、仕入単価が上昇している傾向にあることを示しています。

仕入単価が上昇した企業割合

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ロシアと取引している企業を業種別にみると、石油価格の上昇により加工費・運送費が上昇しているとみられるプラスチック製品製造を含む「化学品製造」では企業の98.2%が仕入単価の上昇に直面しています。また、鉄鋼やアルミ製品製造を含む「鉄鋼・非鉄・鉱業」でも9割超の企業で仕入単価が上昇していると回答。特にアルミニウムはロシアが世界有数の生産国であるため、ウクライナ情勢の緊迫化が国際価格を押し上げています。


ロシア・ウクライナ情勢の長期化で先行き不透明感が強まるなか、今後はロシアおよびウクライナからの原材料・商品調達がさらに困難となる可能性に加え、急激に進む円安による輸入物価の上昇を背景に、ロシア取引企業の仕入単価はさらに高騰すると考えられます。企業の利益確保には価格転嫁が必要不可欠であり、それがあらゆる製商品のさらなる値上げにつながるでしょう。


政府には影響を受けた企業に向けて価格転嫁を促す制度やその他支援策を引き続き講じるとともに、家計向けの支援策を打ち出すことが求められます。


[1] 帝国データバンク「日本企業の『ロシア貿易』状況調査」(2022年4月6日発表)
[2] 帝国データバンク「TDB景気動向調査 2022年5月」(2022年6月3日発表)
[3]仕入単価が上昇した企業は、前年同月と比べて仕入単価が「やや上昇」、「上昇」、「非常に上昇」した企業の合計
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