モーレツ社員が猛烈に減っている!?

現代を生き抜くビジネスパーソンは、日々、仕事に関する行事や講演会などのイベントに参加することも多いでしょう。


私も年に何度かイベントに出かけますが、この6~7年前より企業の上位職や講演者の方の挨拶で、「身体と心の健康に留意して仕事へ励むよう...」といったメッセージが必ず聞かれるようになったと感じています。


猛烈サラリーマンが一世を風靡し、1989年の流行語部門・銅賞を飾った「24時間タタカエマスカ」の時代を若手として過ごしたビジネスパーソンにとってみると、隔世の感があるのかもしれません。


特に近年は、働き方改革に続き、ウェル・ビーイング[1]といった考え方がビジネスの世界でも広がりつつあります。


政府がまとめる「雇用政策研究会報告書」のなかでも、2040年の我が国が目指すべき姿として、「一人ひとりの豊かで健康的な職業人生の実現、人口減少下での我が国の経済の維持・発展」が謳われています。


人口減少という局面を迎えている日本においては、過去の高度経済成長やバブル経済の象徴のようなモーレツに働いて経済を発展させるという考え方から、多様な働き方を認め、労働者一人一人の望む生き方に沿いつつ、企業の経営効率化や生産性の向上から日本経済を発展させることが求められていると言えます。


しかし、本当にそれで良いのだろうか!?とも思います。


健康的な働き方は最も重視することであると理解していますが、自己実現ばかり求め過ぎてもビジネスパーソンとして成長ができないとも考えますし、自分を優先しすぎる従業員ばかりでは企業も疲弊してしまうでしょう。


「若いときの苦労は買ってでもせよ」ではないですが、健康的な職業人であれば、自身を成長させるためのモーレツは、たまにはあっても良いのではと感じます。


さまざまな働き方を許容しつつ、ゆとりをもって働きたい従業員と猛烈に働きたい従業員とが共存し合える環境も大切ではないでしょうか。


24時間とは言わないまでも、社会の要請に応えながら戦えるビジネスパーソンの存在も多様性の一つかもしれません。


[1]ウェル・ビーイングとは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念。なお、世界保健機関(WHO)憲章の健康の定義のなかで「well-being」という言葉が使われている











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