「コロナ禍」は終わった?景況感がコロナ禍前の水準を超えた業種5選


新型コロナの感染症法上の位置づけが2023年5月に5類へ移行してから9カ月が経過しました。この間、外出機会の復活やインバウンド需要の拡大などにより各地で賑わいがみられるようになっています。


コロナ禍における景気動向を振り返ると、帝国データバンクが発表した、最初の緊急事態宣言下の2020年4月の景気DIは25.8(6.7ポイント減)で過去最大の下落幅を更新しました[1]


その後、数回にわたる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で景況感は悪化と改善を繰り返しながらも、2021年11月の景気DI(43.1)は国内で感染者が初めて確認された2020年1月を上回る水準まで回復する結果となりました。


2022年3月にまん延防止等重点措置がすべての地域で解除されたことで、新型コロナによる影響は徐々に緩和され、5類に移行した2023年5月には景気DIが45.4と、消費税率10%への引き上げ直前の水準(45.0)を上回りました。


直近の2024年1月では、景気DIが『コロナ禍における最低水準』を20ポイント以上上回っているのは全51業種のうち半数を超える28業種にのぼっています。


なかでも、「旅館・ホテル」(コロナ禍の最悪期比+49.8ポイント)や「飲食店」(同+46.0ポイント)、「娯楽サービス」(同+40.7ポイント)、「広告関連」(同+35.4ポイント)などのような落ち込みが極端に大きかった業種の回復が目立ちます。


このように、多くの企業で最悪期から大きく回復している傾向にありますが、『コロナ禍前の水準』を超えている企業はどの程度あるのでしょうか?


景気DIを確認したところ、直近でのDIがコロナ禍前である2020年1月の水準を上回った業種は、全51業種のうち39業種となりました。特にDIが大きく上昇した業種を以下にあげます。



■旅館・ホテル          コロナ禍前比+12.8ポイント
■繊維・繊維製品・服飾品卸売        同+10.7ポイント
■飲食店                  同+9.3ポイント
■繊維・繊維製品・服飾品小売        同+8.3ポイント
■医薬品・日用雑貨品小売          同+8.1ポイント



なかでも、飲食店(景気DI50.3)および「旅館・ホテル」(同51.3)は景気の良い悪いの判断の分かれ目となる50ポイントを超える結果となっていました。


こうしたなか、帝国データバンクが2024年2月に実施したアンケート[2]では「コロナ禍は続いている」と捉えている企業は依然として3割を超えるという結果が示されています。なかでも、「周囲に感染者が出ているため、まだ終わったとは言い難い」(建設)の声にあるように、感染者が今なお発生している状況から危機意識を持つ企業が多くみられます。


しかし、「コロナ禍は続いている」としている企業群の景気DIをみると、全体よりはやや下回るものの同様にコロナ禍前より高くなっています。この結果から、一定数の企業で新型コロナに対しての慎重な見方は続いているが、大きな影響を受けていない、もしくは景気にとってプラスとなる要因の方が強く働いていることが考えられます。


今後もこういった感染症の拡大のほか、自然災害や地政学的リスクの高まりなど不確実性を抱えた社会は続きますが、必要以上に警戒せず、正しく恐れ経済活動を続けていくとともに、コロナ禍で得られた教訓や経験を次なる危機への備えと対応に活かすことが重要と言えそうです。


[1]帝国データバンク「TDB景気動向調査」

[2] 帝国データバンク「コロナ禍の終焉に関する企業アンケート」(2024年2月16日発表)










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