2006年12月の景気動向調査
景気DIは45.5、3月のピークから2.4ポイント悪化
2006年12月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は45.5となり、前月比0.1ポイント減とほぼ横ばいながら4カ月連続して悪化した。これにより、前月に続き2006年の最低水準を更新し、足元経済が引き続き弱含んでいることが裏付けられた。
前年(2006年)1~12月の概況
・国内景気の再浮上やデフレ脱却期待が高まるなか、2006年3月に発表されたCPI(全国消費者物価指数)、公示地価ともに改善し、日銀が量的金融緩和政策を解除。国内経済の脱デフレが鮮明となり、景気DIは3月に47.9まで改善。
・4月以降は原油価格が上昇を続けたことに加え、7月にゼロ金利政策が解除されるなど金利上昇リスクも顕在化し、企業・家計心理が悪化。半面、企業業績の堅調持続が景況感を下支えし、一進一退の展開となる。
・9月は日米の景気減速を示す指標が散見されるようになり、11月にはGDPで個人消費の回復遅れが鮮明化。加えて、これまで国内経済を下支えしてきた設備投資と企業業績に息切れ感が台頭し、11月の景気DIは45.6と2006年の最低を更新。
・12月に入ると、早期の追加利上げへの懸念後退や円安進行により自動車関連業界など外需業界を中心に景況感が改善。株価も戻り基調をたどったものの、公共事業費の大幅削減や「脱談合」の加速、個人消費の伸び悩みなどで建設、小売など内需関連業界の景況感が後退。景気DIは45.5と悪化に歯止めがかからず、3月のピーク(47.9)からの悪化幅は2.4ポイントに達する。
今回の景気回復局面は11月で「いざなぎ景気」を超えて戦後最長となったものの、景気DIは1年前と比べ1.5ポイント悪化(2005年12月:47.0→2006年12月:45.5)、年央からは踊り場局面と言える状況であった。
小売業界や建設業界は個人消費の回復遅れや「脱談合」の加速で景気回復には程遠く、こうした業界間格差が大都市圏と地方圏の景況感格差にもつながっている。また、大企業と中小企業でも景況感格差が縮小する気配はなく、景気回復は大都市圏・一部の業界の大企業に限られたものであった。
2007年の見通し
先行き見通しDIは、「3カ月後」と「1年後」は悪化に歯止めがかかったものの、「6カ月後」は引き続き悪化、先行きへの不透明感は未だ払拭されたとは言えない。
国内経済は、長期的な世界経済の拡大とともに潜在成長率並みの成長が持続すると言われており、企業業績はしばらく堅調を持続するとみられる。
しかし、実質賃金が下落するなか、2007年は所得税・住民税の定率減税が廃止され、年金保険料の引き上げも控えており、個人消費は引き続き低迷する公算が大きい。また、米経済の行方や原油価格動向、金利上昇などのリスクもくすぶっている。
さらに、規模間、業界間、地域間での格差に縮小がみられない状況では、当面、調整局面が続くのは避けられない。景気DIは現水準での推移が続くと思われるが、米経済や原油価格、金利動向によっては弱含む可能性もある。