2007年1月の景気動向調査
景気DIは44.8、1年5カ月ぶりの45ポイント割れ
2007年1月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は44.8となり、前月比0.7ポイント減と5カ月連続して悪化した。これにより、2005年8月(44.6)以来17カ月(1年5カ月)ぶりに45ポイント割れとなり、2007年に入っても足元経済は弱含みの展開が続いていることが示された。
前月(2006年12月)までの概況
- 堅調な企業業績や円安進行などが景況感の下支え役となり、2006年12月には早期の追加利上げへの懸念も後退。半面、個人消費の回復遅れや「脱談合」の加速などに伴う内需関連業界の景況感悪化により、全体では2006年3月(9)以降、一進一退ながらもやや弱含みの展開となり、12月(45.5)は2006年としての最低水準を更新
1月の概況
- 依然として個人消費に力強さがみられないうえ、暖冬により冬物衣料などの販売低迷もあって、繊維・アパレル関連などの業界で景況感が悪化
→ 個人消費や消費者物価などの指標が依然として脆弱なことが一因となって、1月18日の金融政策決定会合で日銀は政策金利の引き上げを見送り
- NY原油先物相場で原油価格(WTI、期近)が1年8カ月ぶりに一時1バレル=50ドル台をつけるなど原油価格は下落しているものの、素材価格は高止まりの状況に変化がみられず、鉄鋼・化学関連業界の景況感悪化が継続
- 公共工事削減の常態化や「脱談合」の影響が残り、建設業界の景況感悪化に歯止めかからず
- 企業の賃金動向について尋ねた結果、賃金を改善できない企業の過半数が自社の業績低迷を理由とするなど、いまだ業績が回復途上の企業が散見【特別企画参照】
堅調な上場企業の業績や設備投資に下支えされてきた景気DIは、個人消費の回復遅れや素材価格の高止まり、公共工事削減などによる内需関連業界を中心とした景況感悪化によって、業界間、規模間、地域間で格差を生じさせながら全体としては弱含みの展開が続いている。
今後の見通し
先行き見通しDIは、「3カ月後」は悪化したものの、「6カ月後」、「1年後」はともに4カ月ぶりに改善、先行き不透明感の増幅に歯止めがかかりつつある。
長期的な世界経済の拡大とともに、企業業績は今後も堅調に推移するとみられていることが先行き期待の高まりへとつながっているものの、低調な個人消費については、所得税・住民税の定率減税廃止を控え依然として期待はかけられない。
また、原油価格動向や金利上昇などのリスクがくすぶり続けているうえ、業界間、規模間、地域間の格差にも縮小がみられない。先行き見通しDIの改善から先行きを楽観するには早計で、景気DIはしばらく一進一退の局面が続くものと思われる。
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