2007年2月の景気動向調査
景気DIは44.9、前月比0.1ポイント微増にとどまる
2007年2月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は前月比0.1ポイント増の44.9となった。2006年8月(46.7)以来6カ月ぶりに悪化に歯止めがかかったものの、改善幅は小幅でほぼ横ばいにとどまった。
前月(1月)までの概況
- 堅調な企業業績や円安進行などが景況感を下支えする半面、個人消費の回復遅れや暖冬、「脱談合」の加速などに伴う内需関連業界の景況感悪化により、全体では2006年3月(9)以降、一進一退ながらもやや弱含みの展開となる
- 2007年に入っても悪化基調に変化はみられず、1月(8)は2005年8月(44.6)以来17カ月(1年5カ月)ぶりに45ポイント割れまで悪化
2月の概況
- 2006年10~12月期の国内総生産(GDP、速報値)が実質ベースで年率8%増となるなど、順調な国内経済の拡大が裏付けられたものの、機械関連など一部の業界や大都市圏で景況感に改善がみられた以外、景況感にプラスに作用せず
→ 個人消費のプラス(前期比1.1%増)がGDPの伸びに最も寄与したものの、前期の落ち込みの反動増の域を出ていないうえ、春物衣料の出足が好調な繊維関連業界を除き暖冬の影響がいまだ尾を引いていることなどから、小売業界の景況感は小幅改善にとどまり、卸売業界は悪化基調続く
- 日銀が2月21日、政策金利の25%引き上げを実施。短期的に金融業界の景況感にプラス、不動産業界には逆風となったほかは全体的に影響は限定的だったが、地域別では景気回復遅れが顕著な地方圏で景況感が大きく後退
GDPの伸びにより国内経済の堅調なファンダメンタルズ(基礎的条件)が示されたものの、個人消費の回復遅れなどによって内需関連業界や地方圏を中心に景況感が改善にまで至らない状況で、業界間、規模間、地域間での格差が縮小しないまま弱含みの展開が続いている。
今後の見通し
先行き見通しDIは、「3カ月後」は2カ月連続して悪化したものの、「6カ月後」、「1年後」はともに2カ月連続して改善、総じて先行き不透明感の増幅に歯止めがかかりつつあると言える。
長期的な世界経済の拡大とともに、企業業績は今後も堅調に推移するとみられていることが引き続き先行き期待の高まりへとつながっているものの、10~12月期GDPで大幅に改善した個人消費については過度な期待はかけられないうえ、利上げによる影響が今後、いまだ過剰債務にあえぐ地方圏・中小企業を中心に広がっていくことは避けられず、原油高リスクも払拭されたとは言い難い。
また、2月27日に中国・上海株式市場が大幅に下落したことを発端に世界的に株価が急落、今後の株価動向によっては再び先行き不透明感が増す可能性が高い。こうした状況下では先行きを楽観するには早計であり、景気DIは業界間、規模間、地域間での二極化傾向を示しながら、全体としては一進一退の局面が継続されるものと思われる。