2007年3月の景気動向調査
景気DIは45.5、前月比0.6ポイント増と2カ月連続改善
2007年3月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.6ポイント増の45.5となり、2006年8月以来6カ月ぶりに悪化に歯止めがかかった前月に続き、2カ月連続の改善となった。
前月(2月)までの概況
- 個人消費の回復遅れや「脱談合」の加速などに伴い、企業業績が堅調に推移するなかでも2007年1月(8)は17カ月ぶりに45ポイント割れまで悪化
- 2月(9)は、2006年10~12月期GDPで順調な国内経済の拡大が示され、6カ月ぶりに悪化に歯止め。半面、利上げ実施などによる地方圏での景況感悪化などが影響し、改善幅は0.1ポイントと小幅にとどまる
3月の概況
- 年度末を迎えて企業業績の堅調持続が改めて再認識できたことにより、幅広い業界で景況感が改善。小売や飲食サービスなどでは、年度末特需のほか季節要因もあって景況感を押し上げ
- 公示地価が3大都市圏の大幅上昇と地方中核都市への波及により前年比4%増(全国平均、全用途)と16年ぶりに上昇し、不動産業界や地方中核都市を中心に景況感が改善。半面、地価下落が続いている地点も少なくなく、地方圏を中心とした15県では景況感の改善に至らず
景気DIは地域間、業界間、規模間の格差が拡大する傾向にあるものの、企業業績の堅調持続や、全体的に土地デフレの克服が改めて示されたことで、このところ続いていた悪化傾向に歯止めがかかったと言える。
今後の見通し
先行き見通しDIは、「3カ月後」は悪化し、「6カ月後」「1年後」は引き続き改善。先行きに対する不透明感の増幅には歯止めがかかっているものの、いずれも改善幅は小幅で楽観できる状況にはない。
プラス要因
- 大都市圏での土地デフレ克服と今後の地方中核都市への波及期待
- 長期的な世界経済の拡大や堅調な企業業績と設備投資、雇用・賃金の増加
→国内経済の長期的・安定的な成長期待が高まる
マイナス要因
- 為替動向はやや落ち着いたとはいえ、円高リスクの払拭までには至らず
→4月2日発表の日銀短観で、輸出関連業種を中心に景況感が下振れ - 減税の段階的廃止や年金不安などを背景に、いまだ個人消費に力強さみられず
- 利上げの影響が過剰債務にあえぐ地方圏・中小企業を中心に広がるのは不可避
→業界・規模・地域間における景況感の二極化傾向は一層強まる公算大
長期的な世界経済の拡大への期待が高まっているものの、国内においては個人消費の動向や円高リスク、利上げの影響など懸念材料も少なくない。賃上げ状況次第では個人消費への点火が期待されるものの、しばらくは判断の分かれ目となる50を下回る水準での一進一退が続くと見られる。
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