2007年4月の景気動向調査
景気DIは45.3、前月比0.2ポイント減と3カ月ぶりに小幅悪化
2007年4月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.2ポイント減の45.3となり、3カ月ぶりに悪化に転じた。
前月(3月)までの概況
- 消費低迷や「脱談合」の加速などで景気DIは悪化が続いていたが、2007年2月は春物衣料の出足が好調だった小売業界などの改善を受け、6カ月ぶりに改善
- 3月は年度末を迎えて企業業績の堅調持続が改めて認識できたほか、年度末需要も全体の景況感を押し上げ、2カ月連続の改善
4月の概況
- 3月の景況感を押し上げた年度末要因がなくなったことで、「年度末の工事が終了し、閑散期に入った」(内装工事、大阪府)建設業界や、「年度末に好調だった生産が一段落した」(鉄鋼、愛知県)鉄鋼関連業界などで景況感が後退
- 設備投資や雇用意欲の拡大など国内経済は堅調に推移している半面、「全国的に消費は衰退」(飲料製造、兵庫県)といった個人消費に対する不安や米国経済、原油価格・為替の動向などに対する懸念がくすぶり、中小企業を中心に多くの企業がリスク見極めの慎重姿勢を崩さず
景気DIは、企業業績の堅調持続やデフレ克服期待などに下支えされているものの、新年度入り後も国内経済へのリスクが払拭されない状況に変化はなく、業界間、地域間、規模間での景況感格差も是正されないまま、一進一退の局面が継続している。
今後の見通し
先行き見通しDIは、「3カ月後」「6カ月後」が改善したものの、改善幅は小幅でほぼ横ばい圏で推移。先行き不透明感の増幅に歯止めがかかっているとはいえ、楽観できる状況には至っていない。
長期的な世界経済の拡大への期待は引き続き根強いものの、個人消費や米経済の行方、原油高・円高リスクなどの懸念の払拭は当面見込めないうえ、「脱談合」の加速などによって今後、業界間、地域間、規模間の景況感格差が一層拡大するのは避けられない。実際、今回の調査で「脱談合」の影響について尋ねた結果、建設業界ではすでに影響が出ている企業が4割を上回っており、業界間や地域間の格差を生じさせる最大の要因となっている。
こうした状況下では、全体の景気DIが順調に回復基調をたどるのは困難であり、しばらくは一進一退の局面が続くとみられる。
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