2007年5月の景気動向調査
景気DIは43.8、前月比1.5ポイント減、1年11カ月ぶりの44ポイント割れ
2007年5月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は43.8となり、前月比1.5ポイント減と2カ月連続で悪化した。この結果、2005年6月(43.0)以来23カ月(1年11カ月)ぶりに44ポイント割れとなった。
前月(4月)までの概況
- 消費低迷や「脱談合」の加速などで2006年9月から悪化が続いていた景気DIは、春物衣料の好調や年度末特需によって2007年2月、3月と改善、悪化基調に一定の歯止め
- 4月は年度末特需が一段落、新年度入り後も原油高や円高などのリスク払拭や景況感格差の是正ならず、3カ月ぶりに小幅悪化
5月の概況
- 個人消費への不安が依然払拭されていないことに加え、原油価格の再騰の影響もあって企業の生産活動が一服し、幅広い業界・地域で景況感が悪化
→ 【設備稼働率DI】は前月比1.3ポイント減の49.9と、2003年9月(49.3)以来3年8カ月(44カ月)ぶりに判断の分かれ目となる50ポイント割れ
【生産・出荷量DI】も同2.1ポイント減の49.3に悪化 - これまで国内景気を牽引してきた設備投資についても、一部の大手企業では高水準が持続しているものの、中小・零細企業はすでに息切れ感。次第に牽引力減退
→ 【設備投資意欲DI】は48.2と同1.0ポイントの大幅悪化で、2006年6月以降12カ月連続して判断の分かれ目となる50ポイント割れ
設備投資の先行指標となる「機械受注統計」(内閣府)でも、3月の「船舶・電力を除く民需」は前月比4.5%減と2カ月連続して悪化
今後の見通し
先行き見通しDIは、「3カ月後」「6カ月後」「1年後」ともに大きく後退、国内経済の先行き不透明感が再び増幅し始めている。
- 長期的な世界経済の拡大への期待は根強いものの、短期的には原油高リスクが内在しており、上場企業の多くは今期業績について慎重予想
- 定率減税の段階的廃止や年金問題など将来への不安のほか、一部商品の値上げなどの影響もあり、引き続き消費マインドは停滞
- 地場大手建設会社の倒産が頻発するなど「脱談合」の影響が次第に表面化。今後も「脱談合」の加速は避けられず、業界、地域、規模間格差はさらに拡大へ
- 機械受注統計で2007年4~6月の「船舶・電力を除く民需」見通しが前期比11.8%減となるなど、設備投資の景気牽引力は今後さらに減退する見込み
個人消費動向や原油高リスク見極めの慎重姿勢が、ここへきて各社の生産活動や設備投資の一服にも表れてきている。景気DIはこれまで、「脱談合」の影響などで景況感格差が拡大するなかでも堅調な企業業績や雇用、設備投資などに下支えされて一進一退局面が続いていたが、今後は弱含む可能性も出てきた。
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