2007年6月の景気動向調査
景気DIは43.2、前月比0.6ポイント減と悪化に歯止めかからず
2007年6月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は43.2となり、前月比0.6ポイント減と3カ月連続で悪化。2005年6月(43.0)以来24カ月ぶりに43ポイント台前半まで落ち込み、足元経済がこのところ弱含んでいることが一層鮮明となった。
前月(5月)までの概況
- 消費低迷や「脱談合」の加速などで2006年9月から悪化が続いていた景気DIは、春物衣料の好調や年度末特需によって2007年2月、3月と改善、悪化基調に一定の歯止め
- 4月以降は個人消費の回復遅れや原油価格の再騰などにより、企業の生産活動や設備投資に一服感が台頭し、景況感は再び弱含みの展開へ
6月の概況
- NY原油先物相場(WTI、期近)がナイジェリアの政情不安や夏場の需給ひっ迫懸念などによって、一時1バレル=71ドル台へと10カ月ぶりの水準まで上昇したことで、鉄鋼・化学関連業界をはじめ幅広い業界で収益悪化への懸念が増幅
→【仕入れ単価DI】(62.7)は前月比0.3ポイント増と4カ月連続して上昇し、集計開始の2002年5月以降では2006年9月(63.1)に次いで2番目の高水準。半面、【販売単価DI】(51.5)は51ポイント台で伸び悩む展開続く
- 定率減税の段階的廃止や年金不信などにより、雇用が回復傾向をたどるなかでも依然として個人消費に回復みられず
- 一部大手企業の設備投資意欲は底堅いものの、中堅以下の企業はすでに息切れ感、景気牽引力が減退
→【設備投資意欲DI】(47.9)は2003年9月(47.8)以来3年9カ月(45カ月)ぶりに48ポイント割れ。【設備稼働率DI】(49.8)は2カ月連続で判断の分かれ目となる50ポイント割れ
今後の見通し
先行き見通しDIは、「3カ月後」「6カ月後」「1年後」ともに連続して後退、再び増幅し始めた国内経済の先行き不透明感はさらに深化しつつある。
- 長期的な世界経済の拡大への期待は根強いものの、短期的には原油高リスクや「脱談合」への懸念が内在。実際に倒産という形で影響が表面化し始めており、業界、地域、規模間格差はさらに拡大へ
- 定率減税の段階的廃止や年金問題など将来への不安により、個人消費については今後も期待をかけられず
史上最高値に迫る原油価格や依然として盛り上がってこない個人消費などが、今回の景気回復を牽引してきた企業の生産活動や設備投資意欲を萎縮させ始めている。
長期的な世界経済の拡大への期待は根強く、短期的には今夏の猛暑予測への期待が高まりつつあるものの、原油価格には先高観が強まっているうえ、今後の個人消費にも期待がかけられないことから、景気DIはしばらく弱含みの展開が続くとみられる。
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