2007年7月の景気動向調査
景気DIは42.7、前月比0.5ポイント悪化、2年5カ月ぶり43ポイント割れ
2007年7月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は42.7となり、前月比0.5ポイント減と4カ月連続の悪化となった。この結果、2005年2月(41.9)以来29カ月(2年5カ月)ぶりに43ポイント割れとなった。
前月(6月)までの概況
- 消費低迷や「脱談合」の加速などで2006年9月から悪化が続いていた景気DIは、春物衣料の好調や年度末特需によって2007年2月、3月と改善、悪化基調に一定の歯止め
- 4月以降は個人消費の回復遅れや原油価格の再騰などにより、企業の生産活動や設備投資に一服感が台頭し、景況感は再び弱含みの展開へ
7月の概況
原油価格が史上最高値水準まで上昇:エネルギー需要の拡大などにより、NY原油先物相場(WTI、期近)が月末に1バレル=78ドルを突破するなど、2006年7月の史上最高値に並ぶ水準まで上昇し、運輸業界をはじめ幅広い業界で収益悪化への懸念が高まる
米住宅景気への懸念増幅:月末にかけて米国で信用力の低い個人(サブプライム)向け住宅ローン問題が深刻化。信用リスク懸念増幅に伴う米株式市場の急落が欧州や日本の株式市場にも波及し、企業マインドにも悪影響
政局不安:参院選を前に公共工事の発注などが手控えられ、自民党大敗という結果により政局や経済政策の停滞などへの不安も増幅し、建設業界などの景況感を押し下げ
円高進行による影響はまだ限定的:米国の信用収縮懸念などから為替相場が月初の1ドル=123円台から118円台に上昇したが、2007年6月の日銀短観によると主要企業の想定レートは114円台であり、影響はまだ限定的
依然として個人消費に回復の兆しがみられないなか原油高がさらに進行し、米住宅景気への懸念増幅、政局不安といったリスクも顕在化。このところ企業業績に一服感が出始め、企業の生産活動や設備投資意欲も減退したことで弱含みの展開が続いていた景気DIをさらに押し下げた。
→【売り上げDI】(49.5)は前月比0.4ポイント減と4カ月連続悪化、2カ月連続して50ポイント割れ。【生産・出荷量DI】(49.6)は3カ月連続50ポイント割れ
→【仕入れ単価DI】(63.0)が5カ月連続の上昇となった半面、【販売単価DI】(51.7)は51ポイント台で伸び悩み
→【設備投資意欲DI】(47.5)は3カ月連続悪化。2003年9月(47.8)以来45カ月(3年9カ月)ぶりに48ポイントを割った前月(47.9)に続く47ポイント台
今後の見通し
先行き見通しDIは、「3カ月後」「6カ月後」「1年後」ともに悪化基調に歯止めがかからず、DI水準も先に行くほど低くなるなど、国内経済の先行きに対する悲観的な見方が増幅している。
長期的な世界経済の拡大への期待は根強いものの、原油高の進行や米住宅景気への懸念など国外のリスクが高まっているうえ、為替も今後の動向次第ではリスクとなる可能性が高い。
また国内においては、高まっていた今夏の猛暑期待が梅雨明けの遅れでやや後退しているうえ、「脱談合」の加速や新たに政局不安といった固有リスクも顕在化。定率減税の廃止や年金問題などの将来不安から、今後の個人消費にも期待はかけられない。
こうした状況下では、これまで景気回復を牽引してきた企業の生産活動や設備投資意欲の減退は今後も避けられない。景気DIはしばらく悪化基調が続くものとみられる。