2007年9月の景気動向調査
景気DIは41.9、2年7カ月ぶりに42ポイント割れ
2007年9月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は41.9となり、前月比0.6ポイント減と6カ月連続して悪化。2005年2月(41.9)以来31カ月(2年7カ月)ぶりに42ポイント割れとなった。
前月(8月)までの概況
- 2007年4月以降、個人消費の回復遅れや原油価格の再騰などにより企業の生産活動や設備投資に一服感が台頭し、景況感は再び弱含みの展開へ
- 7月以降は、米サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題の表面化によって、米住宅景気への懸念や世界的な信用収縮への警戒感が増幅。円高ドル安が急速に進行したこともあって、景気DIの悪化に歯止めかからず
9月の概況
世界経済の下振れ懸念払拭されず
金融不安に歯止めをかけるため、FRB(米連邦準備制度理事会)は9月18日にFF(フェデラルファンド)金利の誘導目標を0.5%引き下げたが、世界経済の下振れ懸念払拭には至らず、『金融』『不動産』をはじめ幅広い業界で引き続き景況感が後退
原油価格が再び上昇、史上最高値を更新
やや落ち着いていたNY原油先物相場(WTI、期近)が、メキシコ湾岸での悪天候による供給不安などによって月末に初めて一時1バレル=84ドルを突破し、鉄鋼や化学関連業種を中心に景況感が悪化。相次ぐ消費財の値上げも個人消費に悪影響
改正建築基準法の施行による建築確認の遅れ・手控え拡大
2007年6月の「改正建築基準法」施行により、前月から目立ち始めた建築確認の長期化や手控えが拡大、この影響が建材や鉄鋼などの周辺業界に波及
一服感が台頭していた企業の生産活動や設備投資は、米住宅景気の後退懸念拡大とそれに伴う世界経済の下振れ懸念、円高の進行など、これまでくすぶっていたリスクが相次いで顕在化したことでさらに減退。足元経済は下支えを失いつつあり、規模・業界・地域間格差も縮小しないまま弱含みの展開が続いている
→【生産・出荷量DI】(48.6)は5カ月連続で50ポイント割れ。【設備投資意欲DI】(46.9)は2003年7月(46.8)以来4年2カ月ぶりに47ポイント割れ。政府も9月の月例経済報告で設備投資の判断を2年半ぶりに「弱い動き」へ下方修正
今後の見通し
先行き見通しDIは、2カ月ぶりに「3カ月後」「6カ月後」「1年後」ともに悪化、国内経済の先行きに対しても引き続き厳しい見方となっている。
原油高リスクがさらに高まり、個人消費の回復のめども立たないなかで、米サブプライムローン問題に端を発した世界経済の下振れ懸念や円高進行などのリスクが顕在化し始めている。在庫調整圧力の緩和に伴う生産活動の再加速期待が高まっているとはいえ、こうした状況下では景気DIが改善傾向に転じるのは容易ではなく、しばらくは弱含みの展開が続くとみられる。