2007年10月の景気動向調査
景気DIは40.6、前月比大幅減で3年9カ月ぶり41ポイント割れ
2007年10月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は40.6となり、前月比1.3ポイント減と7カ月連続して悪化。2007年5月(43.8、前月比1.5ポイント減)に次ぐ今年2番目の悪化幅となり、2004年1月(40.1)以来45カ月(3年9カ月)ぶりに41ポイント割れとなった。
前月(9月)までの概況
・2007年7月以降、米サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題の表面化によって、米住宅景気への懸念や世界的な信用収縮への警戒感が増幅。円高進行や改正建築基準法の施行による建築確認の遅れ・手控えも景況感を押し下げ、景気DIの悪化に歯止めかからず
10月の概況
原油価格ついに1バレル=90ドル突破、史上最高値の更新続く
・中東の供給不安や投機マネー流入などによって、NY原油先物相場(WTI、期近)が月末に一時1バレル=94ドル台をつけるなど史上最高値の更新が続いていることで、鉄鋼や化学関連、運輸業界などで景況感の悪化に歯止めかからず。特に影響の大きい中小企業(39.6)は、2004年1月以来3年9カ月ぶりに40ポイント割れ
「改正建築基準法」施行による影響が周辺業界に波及
・2007年6月の「改正建築基準法」施行による建築確認の長期化や手控えが続き、建設、不動産業界のみならず建材など周辺業界の景況感も大きく押し下げ。地域間格差も拡大
為替相場、再び1ドル=114円台まで円高が進行
・為替相場は8月の急速な円高ドル安進行後、徐々に落ち着きを取り戻していたものの、再び1ドル=114円台まで上昇し、電機など外需関連業界の景況感が後退
米サブプライムローンに絡む米金融各社の損失拡大で世界経済の下振れ懸念増幅
・米サブプライムローン問題に絡み、米金融機関が四半期決算で相次いで当初予想を大幅に上回る評価損を計上するなど、想定を上回る米住宅市況の悪化によって、世界経済の下振れ懸念がさらに増幅
このところ景況感の押し下げ要因となってきた米住宅景気や原油高・円高の進行、改正建築基準法の施行による確認申請の遅れ・手控えなどの国内経済へのリスクが、10月に入ってさらに深化する様相をみせている。
売り上げDIや生産・出荷量DI、設備投資意欲DIをみても減退が顕著となっており、景気DIは景気回復局面入りした2003年以来となる40ポイント割れに迫る厳しい状況となっている。
今後の見通し
先行き見通しDIは、2カ月連続して「3カ月後」「6カ月後」「1年後」ともに悪化。悪化幅もすべて1ポイント以上と大きく、国内経済の先行きに対しても一層厳しい見方となっている。
在庫調整圧力の緩和に伴い、大企業を中心に生産活動の再加速期待が高まっているとはいえ、円高リスクがくすぶり続け、原油価格も先物が1バレル=100ドルに迫るなど上昇に歯止めがかからないなかでは、規模を問わず企業業績に過度な期待はかけられない。また、住宅市況がさらに悪化する様相をみせている米経済も、再び利下げに踏み切ったことにも表れているようにしばらく停滞が続くのは避けられず、景気DIは今後も悪化基調が続くものとみられる。