2007年12月の景気動向調査
景気DIは38.3、9カ月連続減、1年間で7.2ポイントの大幅悪化
2007年12月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は38.3となり、前月比1.2ポイント減少。2007年4月以降9カ月連続の悪化となるとともに、3カ月連続して1ポイント以上の悪化幅となった。
これにより、2007年の1年間では7.2ポイント減と2006年(1.5ポイント減)に続いて2年連続の悪化となった。
2007年の概況
- 消費低迷や「脱談合」の加速などにより景況感の悪化が続くなか、2007年2月、3月は年度末特需や、全国平均の公示地価(全用途)が16年ぶりに上昇に転じたことによる不動産業界の景況感改善によって、それまでの悪化に一定の歯止め
- 4月以降は、原油価格の再騰に加え、素材価格の上昇に伴う企業収益の低下などによりこれまで国内景気を牽引してきた設備投資に息切れ感がみられるようになり、7月には米サブプライムローン問題の表面化によって海外の株式市場が軒並み急落。円高リスクも顕在化したことで、景気DIの悪化に歯止めかからず
- 10月以降は「改正建築基準法」の施行で建築確認の期間長期化や確認申請の手控えによって、建設・不動産業界をはじめ建材など周辺業界の景況感にも多大な悪影響を与え、11月(5)は3年11カ月ぶりに40ポイント割れ。12月は政治不信の高まりが個人消費の低迷やマインド悪化につながり、3カ月連続して悪化幅が1ポイント以上と悪化ペースが加速
2007年に入っても個人消費の回復が遅々として進まず、「脱談合」も一層加速するなか、年後半に入り原油高・円高、米景気への懸念などの外的リスクがさらに深化し、素材・消費財の相次ぐ値上げも国内景気にマイナスに作用。加えて、「改正建築基準法」の施行による確認申請の遅れ・手控えや政治不信も新たなリスク要因として台頭したことで、景気DIはついに2003年以来の40ポイント割れ水準まで下落、足元経済の厳しい状況が鮮明となった1年となった。
2008年の見通し
先行き見通しDIは、4カ月連続して「3カ月後」(41.3)、「6カ月後」(41.0)、「1年後」(42.3)ともに悪化。3カ月ぶりに「6カ月後」が「3カ月後」を下回っており、短期的には厳しい環境が続くことが見込まれている。
年明けにNY原油相場(WTI、期近)が一時1バレル=100ドル台に乗るなど原油高リスクは一層高まっているうえ、円高リスクも依然としてくすぶり続けている。また、住宅市況の悪化が雇用環境に悪影響を与え始めた米経済もしばらく停滞が続くのは避けられず、世界の主要株式市場も年初から軟調に推移している。
国内に目を向けても、素材・消費財の値上げがしばらく続くことが予想されており、ここへきてスタグフレーション(景気停滞期の物価上昇)が懸念され始めた。また、「改正建築基準法」「金融商品取引法」をはじめとした法規制強化の流れは、今後さらに関連業界の経営環境を悪化させる公算が大きい。加えて、企業倒産は中小企業を中心に落ち着く気配はなく、政局もしばらく厳しい運営を強いられる可能性が高まっている。
先行き見通しDIは3カ月連続で「1年後」が「6カ月後」を上回るなど、2008年後半への期待はやや高まっていると言えるものの、国内外におけるリスク要因が山積している現状では景気DIが改善に転じるのは容易ではなく、少なくとも2008年の年央までは厳しい展開が続くとみられる。