2009年1月の景気動向調査
景気DIは19.3、過去最低を更新して初の20割れ
< 2008年12月までの概況 : 後退 >
サブプライム問題が進行するなか、2008年9月のリーマン・ショック以後は、金融危機が欧州へと広がって実体経済に波及した。外需の減速と内需の停滞によって収益環境が悪化し、株価下落や円高なども加わり企業業績が悪化した。
< 2009年1月の動向 : 後退 >
2009年1月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比1.1ポイント減の19.3となり11カ月連続で悪化した。2008年11月、12月に続いて3カ月連続で過去最低を更新し、調査開始以来、初めて20を下回った。
業界別では、世界的な金融危機が一段と拡大し国内の銀行や証券、生損保などの業績悪化も鮮明となったことで『金融』(21.6)が大きく悪化し、これまでの最低であった2003年3月(22.4)の水準を初めて下回った。このほか、内外需の停滞によって『製造』(17.7)や『建設』(18.6)『サービス』(23.3)なども過去最低を更新した。
地域別では、9地域が過去最低を更新した。特に、『東海』(17.0)の悪化が際立ち、自動車不況の影響が広がって域内の『製造』(14.8)や『小売』(18.7)などが低迷。業界別、地域別とも悪化基調に歯止めがかからず、国内景気は後退が続いている。
円高・株安が進行 → 国内金融機関の業績悪化が鮮明
欧米大手銀行の経営がさらに悪化し、金融危機が一段と拡大。ドル、ユーロ、ポンドそれぞれに対して円高が進行し、日経平均株価も再び8,000円割れとなるなど、経営環境の悪化が続いた。
・金融機関の業績悪化:国内でも銀行や証券、生損保各社の業績悪化が鮮明となった。さらに、業界環境の急速な悪化から、改正金融機能強化法に基づく予防的資本注入の申請や地銀、保険業界の再編など経営基盤を強化する動きが起こった。
企業業績が悪化 → 個人消費の低迷で内需関連業界も下押し、生産・設備・雇用も悪化
・内需関連も下押し:円高や外需の減速による輸出関連企業や製造業の業績悪化が、消費者心理を冷やして個人消費の停滞にもつながり、『小売』の低迷や『サービス』の悪化など内需関連業界を下押しした。
・生産や設備投資が低迷:業績の悪化と内外需の停滞によって、自動車や鉄鋼、電機、機械、化学などで減産が進み、設備投資計画の凍結・延期も相次いだ。
・雇用調整が加速:急速な景気後退が製造業を中心に雇用調整を加速させ、非正社員の大量解雇だけでなく、正社員でも給与カットや希望退職の動きが目立ち始めた。
< 今後の見通し : 後退 >
世界的な金融危機は依然として収束する見込みがなく、欧米各国の生産や設備投資、雇用などは悪化している。米新大統領にオバマ氏が就任したことで、新たな景気対策による底上げ期待はあるものの、個人消費の一段の低迷が見込まれ、早期に景気の底打ちが確認できる状況にはなく、中国など新興国への影響拡大も懸念される。
国内では、内外需の停滞によって、減産や設備投資活動の縮小が続いている。エネルギーや素材、穀物など原材料価格の安定は好材料となるが、雇用環境や所得が悪化し、家計の生活防衛意識の高まりによる個人消費の一層の下振れによって、企業収益はさらに悪化する可能性が高い。
先行き見通しDIは、「3カ月後」(21.4、前月比0.5ポイント減)が9カ月連続で悪化した。「6カ月後」(23.2、0.7ポイント増)、「1年後」(30.0、1.7ポイント増)はやや改善したものの積極的な好材料はなく、国内景気は後退が続くとみられる。