2009年2月の景気動向調査
景気DIは18.6、4カ月連続で過去最低を更新
< 2009年1月までの概況 : 後退 >
サブプライム問題が進行するなか、2008年9月のリーマン・ショック以後は、金融危機が欧州へと広がって実体経済に波及した。外需の減速と内需の停滞によって収益環境が悪化し、円高や株価下落なども加わり企業業績が悪化した。
< 2009年2月の動向 : 後退 >
2009年2月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.7ポイント減の18.6となり、12カ月連続で悪化し、2008年11月から4カ月連続で過去最低を更新した。
業界別では、内外需の低迷により『製造』(17.0)や『小売』(20.5)、『サービス』(22.6)などが最低を更新した。一方、世界的な金融危機が増幅してきた『金融』(22.1)は、米政府による緊急対策によって混乱拡大への懸念が一時縮小し、2カ月ぶりに改善した。
地域別では、7地域が悪化した。自動車不況が深刻な『東海』(16.9)では、域内の「輸送用機械・器具製造」(3.2)などが著しく低迷。業界別、地域別とも悪化基調に歯止めがかからず、国内景気は後退が続いている。
外需の減少 → 企業業績が悪化し、株価も低迷
・欧米などの需要減が外需依存度を高めてきた国内製造業を直撃。「生産・出荷量DI」や「設備稼働率DI」が過去最低を更新するなど企業活動が停滞し、自動車や電機、鉄鋼などで企業業績の悪化が鮮明となった。
・国内の企業業績の悪化に加え、米大手金融機関の損失拡大や破綻懸念など世界的な金融危機の増幅も影響して、日経平均株価は2月24日、バブル崩壊後の最安値(7,162円90銭、2008年10月27日)を一時割り込む水準まで下落した。
企業部門の悪化が家計に波及 → 個人消費が下押しされ、内需関連が停滞
・製造業を中心に従業員の削減傾向が続いたが、雇用の過剰感の改善には依然としてつながっておらず、経営環境の悪化によって雇用情勢は一段と厳しさを増した。
・雇用の悪化に加えて所得も減少するなか、低価格帯の衣料品など一部では選択消費もみられたが、企業部門の悪化が家計に波及して生活防衛意識が一層強まったことで、個人消費は下押しされ、『小売』や『サービス』などが過去最低を更新した。
< 今後の見通し : 後退 >
世界的な金融危機は依然として収束せず、米住宅市場の底入れもみえない。欧米各国では生産や設備投資、個人消費の停滞が続いており、米オバマ政権による景気対策に期待がかかるが、本格回復への楽観的な見通しは立たない。
国内では、外需の低下で輸出が減少し、減産や設備投資の後退が続いている。原材料価格の安定や在庫圧縮による需給バランス改善への動きは前向きで、一部大手メーカーでは減産幅を縮小する兆しもみられる。しかし、2009年度の賃金および雇用動向では、改善比率がともに前年度比で半減しており(TDB景気動向調査 特別企画2009年1月、2月参照)、個人消費の縮小によって内需がさらに弱まる可能性が高く、企業収益が早期に改善へ向かう状況にはない。
先行き見通しDIは、「3カ月後」(21.4)が前月と同水準となり、「6カ月後」(23.9、0.7ポイント増)、「1年後」(30.9、0.9ポイント増)はやや改善したものの、積極的な好材料はなく、資金需要が増す年度末を控えて経営環境は一段と厳しさを増すことから、国内景気は後退が続くとみられる。