2009年4月の景気動向調査
景気DIは20.4、内需の下支えにより2カ月連続で改善
< 2009年3月までの概況 : 後退から踊り場局面 >
米住宅バブルの崩壊に端を発した金融危機が欧州へと広がって実体経済に波及し、国内では内外需の低迷によって企業活動が停滞した。しかし、2009年3月の景気DIは企業の低価格戦略や年度末需要により13カ月ぶりに改善した。
< 2009年4月の動向 : 後退期における踊り場局面 >
2009年4月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比1.0ポイント増の20.4となり、2カ月連続で改善した。
業界別では、企業の低価格戦略が広がり、高速道路料金の割引や定額給付金などの政策的な後押しも消費を刺激したことで、『小売』(23.7)や『サービス』(24.0)など内需関連業界の改善が目立った。中国の内需刺激や米経済の底打ち観測への期待、国内の在庫調整の進展などにより、『製造』(18.7)も底上げされるなど全10業界で改善したが、急速に悪化した2008年秋以前の水準には遠く及ばず、各業界とも厳しい業況が続いた。
地域別では、9地域が改善した。地方圏を中心に底堅い内需関連業界が地域経済を下支えしたが、外需の低迷が製造をはじめ小売や物流など地域経済を幅広く下押ししている『東海』(17.6)などでは、低価格戦略や消費刺激策も限定的で、改善は小幅にとどまった。景気DIの改善は2008年秋以降の急速な悪化を調整している段階にあり、国内景気は後退期における踊り場の局面が続いている。
低価格戦略や政策的な後押しが消費を刺激 → 『小売』『サービス』などを下支え
・選択消費が強まるなかで企業の低価格戦略が広がり、食料品から耐久消費財、サービスなどでも価格低下が進行。政策的な後押しもあって、生活必需品や家電・情報機器、観光需要などの消費を刺激し、『小売』や『サービス』など内需関連を下支えした。
中国の内需刺激や国内の在庫調整の進展 → 『製造』がやや改善
・中国の内需刺激による家電向け部品などの需要増、米住宅価格の上昇など米経済の底打ち期待、国内の在庫調整の進展などにより『製造』もやや改善した。
雇用環境や所得の悪化 → 家計の生活防衛意識の高まりが、一段の内需回復を抑える
・企業の低価格戦略や政策などが消費を刺激したものの、生産や設備投資などの企業活動は停滞を続け、雇用環境や所得の悪化が続いた。家計の生活防衛意識はさらに高まり、一段の内需回復を抑える形となった。
< 今後の見通し :後退期における踊り場局面 >
世界的な金融危機や景気後退に対して、各国は金融政策や巨額の財政出動などで収束へ向けた協調行動をとり、底打ちへの期待も表れ始めたが、米金融機関や自動車業界の動向は不透明でドル安進行の可能性もあるなど、先行き懸念は払拭されていない。
国内では在庫調整の進展はみられるものの、生産活動は本格回復せず、設備投資についても後退の動きが続いている。プライベートブランドの開発や拡販など、企業は消費者ニーズを取り込む動きを活発化させているが、需要減による物価の下落圧力は続いており、企業の収益環境が厳しさを増すことは避けられない情勢にある。また、雇用環境や所得に改善の兆しはなく、内需は一時的な底上げ以後は下振れする可能性もある。
先行き見通しDIは、「3カ月後」(24.7、前月比1.9ポイント増)、「6カ月後」(29.1、同2.4ポイント増)、「1年後」(36.3、同2.5ポイント増)と、2カ月連続で3指標すべてが改善したが、外需は弱く内需も先行き不透明であることから、国内景気は踊り場の局面が続くとみられる。