2009年10月の景気動向調査
景気DIは24.9、内需の息切れが鮮明となり、国内景気は踊り場局面に
< 2009年10月の動向 : 踊り場局面 >
2009年10月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.2ポイント増の24.9となり、8カ月連続で改善した。
しかし、割安感のある一部の消費財を除いて個人消費は低調で、『小売』(26.3)は8カ月ぶりに悪化。雇用環境や所得の悪化が長期化するなかで、新型インフルエンザの流行拡大や補正予算見直しの動きなども景気の停滞観測を増幅させ、消費マインドが下押しされた。中国などアジアを中心とする外需の復調や政策的な下支えによって、『製造』(24.9)は8カ月連続で改善したものの、2009年3月から続いた内需の底上げに外需の復調が加わる改善の構図は弱まっている。
地域別では、『四国』(27.8)や『九州』(26.1)などが比較的堅調に推移した。昨秋以降、外需急減の影響が大きかった『東海』(23.6)も改善基調を持続したが、生産活動などで回復の遅れが目立った。
国内景気は内需の息切れが鮮明となっており、踊り場局面に入っている。
①外需の復調と政策的な下支え → 企業の生産活動は緩やかな回復続く
・中国を中心とする外需の復調に加え、エコポイント制度やエコカー減税・補助金などの政策的な刺激が下支えして、企業の「生産・出荷量DI」、「設備稼働率DI」はそれぞれ5カ月連続、6カ月連続で改善するなど生産活動は緩やかな回復が続いた。
②雇用環境や所得の悪化、補正見直し → 企業および家計部門のマインド下押し
・雇用や所得の悪化、2009年度補正予算見直しの動きも企業の停滞観測を増幅。これらが家計の生活防衛意識にも影響を与え、消費マインドを下押しし、新型インフルエンザの流行拡大も外食やレジャーなどの消費機会を抑制した。
③低価格戦略の広がり → 企業の収益環境が厳しさ増す
・企業の低価格戦略が一段と広がり、物価の下落基調が持続。売り上げが回復せず、販売単価も低下傾向が続いたことから、企業の収益環境は厳しさを増した。
< 今後の見通し : 踊り場局面が長引く可能性も >
企業は、コスト削減や事業再編による収益構造の転換を進めており、大手製造業や消費者ニーズを獲得した小売店など、一部では着実な業績回復が期待される。外需の復調、前倒しが進む年末年始商戦や冬季オリンピック需要などにより、在庫圧縮や生産活動の底上げには一定の効果も見込まれる。
しかし、厳しい雇用環境や冬の賞与減少などで消費マインドが伸び悩む可能性は高く、内需の本格回復は見込めない。米経済の動向や世界的な商品相場の上昇、金利・為替動向なども先行きへの不安定要素として挙げられる。
この結果、景気予測DIは「1カ月後」(25.2、当月比0.3ポイント増)、「3カ月後」(26.0、同1.1ポイント増)、「6カ月後」(27.0、同2.1ポイント増)と改善基調は持続するものの、力強さに欠け、リーマン・ショック前の水準は回復しない。補正予算の見直しは、企業や消費者心理の悪化を通して内需の委縮につながる恐れもあり、今後の国内景気は、回復過程のなかでの踊り場局面が長引く可能性もある。