2009年12月の景気動向調査
景気DIは23.9、2カ月連続悪化し下げ幅も拡大、国内景気の失速鮮明に
< 2009年12月の動向 : 踊り場局面 >
2009年12月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.8ポイント減の23.9と2カ月連続で悪化し、下げ幅は前月の0.2ポイントから0.8ポイントに拡大した。
中国など外需の復調が企業の生産活動を下支えしたが、雇用環境の悪化や所得の減少で家計の消費マインドは弱く、デフレが進行し、政策による底上げ効果も息切れしてきたことで、『製造』(25.0)『小売』(24.4)『サービス』(25.6)をはじめ全10業界が悪化した。特に、『小売』は食料品や家電、自動車関連業種などが軒並み悪化し、13カ月ぶりに『製造』を下回って、2009年5月(24.0)以来の低水準に後退。2009年春先以降、国内景気の回復をけん引してきた内需の停滞が顕著となった。
長期化する需要不足に対して、企業は収益構造の転換を目的に従業員数の削減を続けているが、雇用の過剰感は払拭されず、設備投資も改善していない。こうした企業の自己防衛策が家計の閉塞感も強め、内需の停滞に拍車をかけている。
企業部門と家計部門が悪循環に陥りつつあり、国内景気の失速が鮮明となっている。
① 消費は弱く収益性の厳しさが増して、企業部門が悪化
・消費マインドが弱く、年末商戦も景気を底上げするほどの需要増にはつながらず、デフレも進行。原材料価格が値上がり傾向となった一方、低価格戦略の広がりで販売価格は引き下げを余儀なくされるなど収益性は厳しさを増し、企業部門が悪化した。
② 雇用環境の悪化や所得の減少で、家計部門が悪化
・企業は設備投資や人的投資の抑制などで自己防衛を強め、雇用や所得が悪化。これらに早期改善は見込めず、生活防衛意識も高まるなどして、家計部門も悪化した。
③ 外需の復調が持続し、『製造』の悪化幅は最小にとどまる
・中国などアジアを中心とした外需の復調が続いたことで、『製造』の悪化幅は10業界中で最小の0.3ポイントにとどまった。
< 今後の見通し : 踊り場局面から二番底に陥る可能性も >
外需の復調により、企業の生産活動は下支えされることが見込まれる。グローバル化が加速するなか、大手では新興国向け製品の開発や投入で商機を広げ、再編による強者連合の誕生など、競争力の強化を図っている。
子ども手当や住宅版エコポイントなどは家計への支援となるが、雇用や所得は長期低迷が見込まれ、年金不安も根強いことから、生活防衛意識の大幅な緩和は期待できない。原材料価格は先高観が強いにもかかわらず、モノやサービス価格の下落が続いており、企業の収益性は一段と厳しさを増す可能性がある。財政悪化のなか、次年度の公共事業費は32年ぶりの低水準に落ち込み、暫定税率も実質維持となるなど政策的な引き締めもみられ、不透明な欧米経済や金利、為替動向なども懸念される。
景気予測DIは「1カ月後」(23.7、当月比0.2ポイント減)、「3カ月後」(23.8、同0.1ポイント減)、「6カ月後」(24.8、同0.9ポイント増)となった。
2010年の国内景気は弱含みでの推移が見込まれ、脆弱な内需が下押し要因となって、踊り場局面から二番底に陥る可能性もある。