2011年1月の景気動向調査
景気DIは33.7、前月比0.8ポイント増と3カ月連続で改善
< 2011年1月の動向 : 踊り場局面 >
2011年1月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.8ポイント増の33.7となった。3カ月連続で改善し、今回の景気回復局面における最高(33.5:2010年7月)をわずかだが6カ月ぶりに更新した。
外需は中国やインドなどの新興国を中心に好調で、内需も初売りセールや気温低下による需要増、家電や住宅に対する政策支援の効果などで復調し、生産や販売など企業活動の改善基調が続いた。
しかし、家計の生活防衛意識が緩和される状況にはなく、内需の回復は遅れており、政策支援の縮小や終了による反動減もみられる。デフレが長期化するなか、原材料価格の上昇によって企業の収益性は厳しさを増しており、政策見通しの不透明感も雇用や設備など投資活動の重しとなっている。
国内景気は外需主導による底上げもみられるが、踊り場脱却には至っていない。
・好調な外需や内需の下支えで、生産や販売など企業活動の改善基調が持続
企業の生産活動は化学や鉄鋼、機械、電機、自動車関連などを中心に改善基調を持続した。また、衣料品や家電・自動車販売、外食、メンテナンスや教育サービスなどでも企業活動の改善が続いた。
・企業の収益性は厳しさを増し、雇用や設備投資の回復も進展せず
需要に力強さがないことから、原材料価格は上昇傾向にあるものの販売価格への転嫁は困難な状況が続いた。企業の売上高は回復が進んでおらず、収益性は厳しさを増している。
このため、化学メーカーや医薬品小売、電気通信サービスなど一部の業種を除いて、雇用(正社員・非正社員)を引き締める傾向に変わりはなく、設備投資も本格回復への兆しはみられない。
< 今後の見通し : 踊り場局面 >
外需は好調で、次世代自動車やスマートフォン市場の成長・拡大など明るい材料もある。大手を中心とした企業業績の回復は今後も見込まれ、法人課税の引き下げや環境関連投資促進税制など新年度の税制改正と合わせて設備投資への波及も期待される。
しかし、長期化する日米欧の金融緩和政策によって新興国ではインフレリスクが増大しており、原材料価格の上振れリスクも高まっている。年明けに菅第2次改造内閣が発足したが、新年度予算案や財政再建の動向、貿易交渉の進展など課題は多く、春の統一地方選を控えて、一層の政局混乱も企業マインドを下押しする懸念がある。
景気予測DIは「1カ月後」(35.3、当月比1.6ポイント増)、「3カ月後」(37.6、同3.9ポイント増)、「6カ月後」(39.6、同5.9ポイント増)となった。
国内景気は脆弱な内需が重しとなって、緩やかな回復にとどまるものとみられる。