2011年2月の景気動向調査
景気DIは35.4、前月比1.7ポイント増と4カ月連続で改善
< 2011年2月の動向 : 回復局面 >
2011年2月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比1.7ポイント増の35.4となった。4カ月連続で改善して、今回の景気回復局面における最高を更新し、2008年3月(35.6)以来2年11カ月ぶりの水準となった。
外需は中国やインドなどの新興国を中心に好調が続き、輸出関連業種が軒並み改善した。内需も家電や住宅に対する政策支援の効果が持続し、年度末需要も底上げにつながったことで、全10業界が2010年3月以来11カ月ぶりにそろって改善した。
しかし、内需の回復は遅れており、デフレの長期化で企業の収益性は厳しさが続いている。政局も不透明さを増すなかで企業の設備投資は慎重な姿勢が続いており、家計でも雇用不安は根強く、医療や年金など社会保障問題も重しとなって消費の回復力も弱い。
国内景気は外需がけん引して踊り場を脱し、緩やかに回復を続けているが、依然として足元は不安定な状況にある。
・好調な外需により、企業の生産活動は改善を持続
企業の生産活動は機械や電機、自動車などを中心に改善基調が続いた。『製造』は全体を上回って改善を続けており、国内景気の回復をけん引している。従業員数も化学メーカーや機械、自動車などが増加に転じるなど、他業界に比べて改善がみられる。
・内需の回復は遅れ、売り上げや出荷量は低迷続く
需要は弱く、デフレが長期化している。仕入れ価格上昇分の販売価格への転嫁は進んでおらず、企業の収益性は厳しさを増している。特に『小売』は全体を下回る水準が続いており、回復が遅れている。
また、エコカー補助金が終了(2010年9月7日)した自動車小売は、反動減から徐々に脱しつつあるものの、その水準は低い。政策効果が持続している家電小売や住宅関連は最高を更新しており、政策支援の終了・継続で対照的な結果となっている。
< 今後の見通し : 回復局面 >
大手製造業を中心に2010年度の企業業績は回復傾向にある。小売やサービスでも外需を取り込む動きが活発化しており、内需も政策効果やスマートフォンなど新市場の成長が見込まれ、政府の新年度予算案による下支えも期待される。
しかし、国内ではデフレや雇用不安、金利上昇の懸念などが払拭されないなかで、予算関連法案は成立の見通しが立っていない。4月の統一地方選を控えて一層の政局混乱や設備投資マインドの低下、公共工事の発注遅れなどが懸念され、国内景気の回復は足取りが重くなる可能性がある。また、中東・北アフリカの政情不安の長期化や中国などへの拡大、新興国のインフレ、原材料価格の高騰も回復の妨げとなる恐れがある。
景気予測DIは「1カ月後」(36.7、当月比1.3ポイント増)、「3カ月後」(38.4、同3.0ポイント増)、「6カ月後」(39.8、同4.4ポイント増)となった。
国内景気は回復基調の持続が見込まれるが、緩やかな回復にとどまるものとみられる。