2011年12月の景気動向調査
景気DIは35.7、前月比0.2ポイント増と2カ月ぶりに改善
< 2011年12月の動向 : 踊り場局面 >
2011年12月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.2ポイント増の35.7となり、2カ月ぶりに改善した。
震災から9カ月が経過し、復興需要が増加してきたことで、宮城県や福島県など東北では建設業を中心に企業活動が活発化している。また、内需では省エネ関連製品など一部で需要増もみられた。
しかし、このほかに目立った好材料はないことから個人消費は弱く、外需も欧米景気の停滞によって力強さがみられなかった。また、タイの洪水による部品調達の遅れなどは回復しておらず、円高の定着による厳しい輸出環境も続いたことで、企業収益は下押しされた。
国内景気は内外需とも弱く、踊り場局面が続いている。
・復興需要の増加が、建設などの関連業種や『東北』の改善をけん引
復興需要の増加は、建設や建材製造など関連業種の収益増をけん引した。特に、「宮城」が全国47都道府県別で5カ月連続の第1位となり、「福島」が過去最高の第2位、「岩手」も第5位となるなど『東北』の改善が顕著であった。
・雇用や所得環境の回復進まず、新たな負担増への懸念も、個人消費回復の妨げに
しかし、個人消費は低迷が続いた。雇用や所得環境の回復は進んでおらず、復興政策や財政再建に向けた先行きの負担増が意識され始めたことも消費回復の妨げとなり、歳末商戦では飲食料品などの生活必需品や省エネ関連の家電製品のほかは、目立った需要の底上げはみられなかった。
・外需の停滞や円高などで、企業収益も下押し
また、欧米の景気停滞により外需には力強さがなく、タイの洪水被害の影響長期化により、原材料や部品の供給への悪影響も続いた。1ドル=77円前後と円高傾向が定着するなど、厳しい輸出環境が続いたことも企業の生産活動の回復を鈍らせ、電機や自動車関連業種などの収益を下押しする要因となった。
< 今後の見通し : 踊り場局面 >
今後、復興需要が本格化するほか、住宅や自動車向けなどの各種政策支援によって内需は底上げされることが見込まれる。また、省エネなどの技術革新やロンドン夏季五輪に向けた新商品やサービスの投入なども消費喚起につながるとみられる。
しかし、先行きの負担増に対する警戒感は強く、消費マインドの大幅な改善は見込めない。企業もデフレや厳しい輸出環境の長期化が避けられないなかで、人的投資や設備投資活動の本格回復は期待できない。エネルギー政策や貿易問題なども不安定材料であり、産業空洞化の加速も懸念される。
景気予測DIは「1カ月後」(35.4、当月比0.3ポイント減)、「3カ月後」(36.7、同1.0ポイント増)、「6カ月後」(37.8、同2.1ポイント増)となった。
国内景気は復興需要などの政策支援に期待がかかるが、早期に自律回復へ移行する状況にはなく、踊り場局面が長引く可能性がある。