2012年1月の景気動向調査
景気DIは35.9、前月比0.2ポイント増と2カ月連続で改善
< 2012年1月の動向 : 踊り場局面 >
2012年1月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.2ポイント増の35.9となり、2カ月連続で改善した。
復興需要の増加により、東北では被災地域を中心に建設業や製造業などで企業活動が活発化している。また、全国的にも個人消費は生活必需品が底堅く推移し、冬物衣料や自動車販売なども好調であった。
しかし、復興需要による底上げは限定的であり、外需の弱含みや円高の長期化が企業の生産活動を下押ししたほか、内需にも全体を底上げするほどの回復力はみられなかった。
国内景気は内外需とも弱含みの状況にあり、踊り場局面が続いている。
・復興需要が『東北』をけん引するも西日本では回復遅れ、地域間での格差が鮮明に
復興需要が被災地域において『建設』をはじめ『製造』、『卸売』、『小売』など幅広い業界の改善をけん引したことで、『東北』は9カ月連続で改善した。一方、『近畿』や『中国』など西日本ではその恩恵が少なく、内需の停滞が続いたことなどで回復が遅れ、地域間での格差が鮮明となった。
・厳冬などで、個人消費も国内景気を下支え
消費面では全国的に生活必需品関連の業種が底堅く推移した。また、「繊維・繊維製品・服飾品小売」は厳冬により初売りなどが好調で、「自動車・同部品小売」もタイの洪水被害による悪影響が緩和されてきたことで、いずれも3カ月ぶりに改善した。これらの結果、『小売』は2カ月連続で改善した。
・外需の弱含みや円高の長期化などで、企業の生産活動は停滞続く
しかし、中国の景気減速や欧州の低迷などで外需は弱含み、円高も長期化していることで、輸出企業の収益環境は厳しさが続いた。復興需要は限定的で内需全体にも力強さがみられなかったことから、『製造』は3カ月連続で悪化した。
< 今後の見通し : 踊り場局面 >
今後、復興需要が本格化することで東北では景気回復が進み、周辺地域でも一定の需要増や需要下支えの効果が現れるとみられる。ロンドン夏季五輪に合わせた新商品の投入や住宅・自動車への政策支援も消費を喚起することが期待される。
しかし、復興需要の恩恵が少なく、公共事業の縮小も懸念される西日本では回復が遅れ、東日本との地域間格差の拡大は避けられない。また、先行きの負担増は必至で政策の不透明感も払拭されておらず、生活防衛意識の高まりにより個人消費が伸び悩み、国内景気全体の回復力は脆弱なものにとどまる可能性がある。不安定な欧米景気や円高の長期化、電力の供給不安なども回復の重しとなり、産業の空洞化も懸念される。
景気予測DIは「1カ月後」(36.3、当月比0.4ポイント増)、「3カ月後」(37.0、同1.1ポイント増)、「6カ月後」(38.4、同2.5ポイント増)となった。
自律回復への見通しは立っておらず、国内景気は踊り場局面が長引く可能性がある。